基準が曖昧すぎる…センバツ「21世紀枠」の選考方法は早く見直すべきだ

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実力差で物議

 3月19日に選抜高校野球が開幕する。地方大会の優勝校が代表校となる夏の全国高野球選手権大会とは違い、あくまで高校野球連盟(以下高野連)によって“選抜された”学校による大会というのが大きな特徴だ。

 その中でも特に話題となるのが『21世紀枠』の選考だ。今大会は、八戸西(青森)、東播磨(兵庫)、具志川商(沖縄)、三島南(静岡)が選ばれている。その名の通り21世紀となった2001年の第73回大会から導入されたものであるが、その選考基準は勝敗にこだわらず多角的に出場校を選ぶセンバツ大会の特性を生かし、技能だけではなく高校野球の模範的な姿を実践している学校を以下の基準に沿って選ぶとなっている。

1、秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟校が129校以上の都道府県はベスト32以上)が対象。
2、以下の推薦例のいずれかに当てはまる学校。
・少数部員、施設面のハンディ、自然災害など困難な環境の克服
・学業と部活動の両立
・近年の試合成績が良好ながら、強豪校に惜敗するなどして甲子園出場機会に恵まれていない
・創意工夫した練習で成果を上げている
・校内、地域での活動が他の生徒や他校、地域に好影響を与えている
(2017年1月27日の毎日新聞から引用)

 一般枠と比べて21世紀枠で出場したチームの実力が劣ることは致し方ない選考基準となっており、その実力差が原因でこれまでも何度か物議を醸す出来事が起こっている。

「腹を切りたい」

 過去には宜野座(第73回大会・01年/沖縄)と利府(第81回大会・09年/宮城)がベスト4に進出しているが、出場した学校の7割以上が初戦で敗れており、中には20点以上の点差がつくケースも生まれた。

 一方で第82回大会(10年)では開星(島根)が21世紀枠で出場した向陽(和歌山)に初戦で敗れ、試合後に野々村直通監督(当時)は試合後に「21世紀枠に負けて末代までの恥。腹を切りたい」などと発言し、その責任をとって辞任する騒動にも発展している(後に復帰)。これも基準が異なる代表校同士の対戦がもたらした悲劇とも言えるだろう。

 21世紀枠最大の問題点がその選考基準の曖昧さだ。前述した通り「技能だけではなく高校野球の模範的な姿を実践している学校」と明記されているが、各都道府県の候補として選ばれた後に、不祥事が発覚して推薦を辞退したケースや、選出された高校が選抜大会後に部内暴力で処分を受けるなど、「模範的」とは呼べない高校を推薦してしまった例もある。

 選考基準にある「困難な環境の克服」、「学業と部活動の両立」、「地域での活動」といった点を第三者が比較して優劣をつけることができるものではない。21世紀枠の候補になれるという期待が高まってから、急に学校周辺の清掃活動を始めたという例もあったと聞く。また「高校野球の模範的な姿を実践」ともあるが、「何を持って模範的とするか」は、あくまで選考委員のさじ加減次第と言えるだろう。

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