センバツで“史上最強”大阪桐蔭を倒すチームは…市立和歌山、県岐阜商それとも

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“白河越え”の可能性

 日程と組み合わせを考えると、有利に見えるのが東海大菅生だ。エースの本田峻也は安定感のあるサウスポーだが、その本田に頼り過ぎずに複数の投手を上手く使って秋の東京都大会を制している。昨年秋の公式戦チーム打率は4割近い数字を残すなど、得点力が高い。勝ち上がれば、最初の2試合は初出場のチームとの対戦が続くという点は追い風となりそうだ。

 大阪桐蔭が決勝まで当たらない反対側の山では、仙台育英(宮城)と健大高崎(群馬)が双璧の存在だ。仙台育英は140キロ台のスピードを誇る力のある投手を5人以上揃え、一人のエースに頼らない戦い方ができるのが大きい。打線をみると、昨年の入江大樹(楽天ドラフト5位)のような“超高校級のスラッガー”は不在だが、東北大会4試合で37点を叩き出して得点力も高い。東北勢悲願の“大旗の白河越え”の可能性を十分に秘めたチームだ。

 2年連続秋の関東大会を制した健大高崎は、圧倒的な打力が持ち味のチームだ。秋の公式戦10試合で15本塁打を放っており、上位からも下位からも長打が飛び出す。課題と見られていた投手陣も、秋は故障で戦力にならなかった本格派右腕の今中泰一が順調に回復してきたことが大きなプラス。

 ダークホースとして、面白そうなチームが北海(北海道)、東海大相模(神奈川)、福岡大大濠だ。3校とも大会屈指の力を誇るサウスポーがエースであり、戦い方が手堅い。特に、北海の木村大成はスタミナも申し分ないだけに、仙台育英、健大高崎などを抑え込んで勝ち切るようなことがあれば、勢いに乗って一気に決勝に進出することも考えられる。

 前述した通り、大阪桐蔭にとっては厳しいゾーンに入ったように見える。だが、投手で最も難敵と見られる小園健太を擁する市立和歌山とは準々決勝まで当たらず、総合力の高い中京大中京が過密日程となる位置に入っていたほか、仙台育英や健大高崎といった地力のある東日本の2チームも、トーナメントで反対の山に入った。初戦で智弁学園に近畿大会決勝のリベンジを果たすことができれば、大阪桐蔭の3年ぶりの優勝は視野に入ってくるかもしれない。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年3月18日掲載

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