楽天に1500億円出資する日本郵政 政・官・業の癒着という見方さえある問題点

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巨大な総務省の会社に?

 もっとも、前出の事情通氏は、「総務省の本当の狙いは楽天を支えることではないかもしれない」と語る。

 昨年9月、総務省は市場競争を活発化させるために分社化させたはずのNTTに、NTTドコモの子会社化をすんなり認めた。NTTの大株主化も国や政府の了解を得られなければ実現できなかったわけだが、以前のような圧倒的な市場支配ができないにしろ、NTTの再統合の動きは、ほかの携帯ライバル会社にとって当然、脅威にはなる。

 携帯電話料金の引き下げ競争が行われるなかで、格安の携帯料金で差別化を図ろうとしていた楽天が、最も深刻な打撃を受けるだろうとされ、「生き残れない可能性がある」と言うのだ。ならば、なぜ日本郵政を使って楽天に出資するのか。

「日本郵政のビジネスモデルは限界に来ており、このままでは郵便局網を維持し続けることは難しい。再国有化すべきだという議論すら出ています。楽天が行き詰まったら日本郵政が楽天を完全に飲み込み、EC事業や携帯電話事業も行うようにすれば、まさに巨大な“総務省の会社”が出来上がります」

 その見立てが当たるかは別として、それぞれの思惑が絡んだ業務提携だったことは間違いない。

デイリー新潮取材班

2021年3月16日掲載

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