命を賭した「殉職警官」のパトカー 車体が激しく損傷、屋根の赤色灯がもげて
避難誘導中、津波に遭い…
東日本大震災の現場では、他者の命を守るために失われた命が多くあったことを忘れてはならないだろう。津波に流され激しく損傷したパトカーの写真からは、最後まで命を賭けて戦った警察官たちの姿が浮かび上がってくる。
(「週刊新潮」別冊「FOCUS」大災害緊急復刊より再掲)
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「犯人に負けない強靭な体力と精神力を鍛え、一線署で活躍できるように全力で訓練に取り組んでいます。卒業後は、県民の方々から信頼される強い警察官を目指します」
警察学校のHPでこう決意を述べていたのは、4月3日、岩手県陸前高田市内の河川敷から遺体で発見された、岩手県警の百鳥(ももとり)憂樹巡査(21)。青森県との県境にある洋野(ひろの)町出身で、この1月に警察学校を卒業し、大船渡署高田幹部交番に勤務し始めたばかりだった。
同交番は完全に水没、土砂が流れこみ、コンクリートの基礎だけが残った。8名の警察官が所属していたが、38歳の警部補も殉職し、所長も行方不明のまま。百鳥巡査も彼らと同様に、住民の避難誘導中、津波に遭った。パトカーで同僚と出動したのが、目撃された最後の姿となった。
赤色灯がもげたパトカー
写真は市街地にあった同交番からおよそ1キロ南西の住宅地。波に揉まれ何度も横転したのだろう、車体が激しく傷み、屋根の赤色灯ももげてしまったパトカーが、瓦礫と泥の中に横たわっていた。すぐ脇にガードレールの支柱が何本か突き出ていることから、そこが道路であったことが、かろうじて推測できる。同交番がある陸前高田市は死者が県全体の3分の1にあたる1100人を超え、いまだ所在不明の住民も約1230人いる。
震災2日後に現場に入ったカメラマンによると、
「病院、マンション、郵便局などが何とか外観をとどめているだけで、他に建物は見えなかった。そこにいくつもの車が転がっている。どの車から漏れ出したのか、あたりにはガソリンの鼻をつく異臭が漂っていた。パトカーは無人で、窓ガラスも残っていませんでした」
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