「自殺衝動説」も…タイガー・ウッズの自動車事故 運転手がいない理由とは

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 タイガー・ウッズ(45)の自動車横転事故は、世界に衝撃を与えた。車のフロント部分は無惨に大破し、一命をとりとめたのが奇跡と思えるほどだ。そんな事故をめぐり諸説紛紛(ふんぷん)――。

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 事故が起きたのは2月23日の朝(日本時間24日)。ウッズはなぜ、単身、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外を飛ばしていたのか。大手紙ゴルフ記者によると、

「ウッズはテレビ番組の撮影のためにゴルフ場に向かっていました。事故現場は、地元では事故が多いとされるカーブ。ふだんフロリダ州で暮らす彼はそれを知らず、曲がり切れなかった。反対車線側の縁石に乗り上げ、何回か転がって道路脇までふっ飛んだようです」

 飲酒や薬物の影響はなかったという。

「両足を激しく負傷したウッズは、搬送先の病院で10時間の大手術を受けました。粉砕骨折した右足の骨2本にプレートを入れ、足首の骨折はボルトとピンで固定する手術です」

 要は、弁慶の泣き所の骨とくるぶしにつながる骨が砕けてしまったのだ。

「私はとっさに“事故を装って自殺しようとしたのでは”との感を抱きました」

 とは、作家でゴルフ評論家の早瀬利之氏。

「彼は最近、4年前に飲酒または薬物影響下の運転で逮捕されたときのように表情が冴えなかった。先ごろ5度目の腰の手術をしたばかりで、精神的に参っていたのではないか、と」

一人で会場に出入り

 潜在的な自己否定の念による自殺衝動があったのだろうか。ともあれ、事故の3日後、ウッズはSNSで〈精神的にもよい状態にあります〉と報告。怪我も快方に向かっているという。だとすれば、今後は競技に復帰できるか否か。プロゴルファーの沼沢聖一氏は、

「タイガーはもともと左膝や腰に怪我を抱え、手術もしてきました。だから彼は、左足に負担がかからないよう右足をうまく使ってスイングしていた。今回その右足を中心に怪我を負ってしまったので、ゴルファーとして復帰できても以前のような動きは99%無理。骨や筋肉が元に戻っても、彼が培ってきた微妙なフィーリングは取り戻せません」

 そもそも、このような事態は防げなかったのか。

「“あれほどの選手なら、競技に専念するために運転手をつけるものなんじゃないの”ってよく尋ねられます。それが一般的な日本人の感覚なのでしょうが……」

 と先のゴルフ記者は言い、ゴルフジャーナリストの舩越園子氏が後を受ける。

「アメリカの選手のほとんどは、移動時に自分で車を運転します。キャディやコーチは“仕事仲間”という感覚が強い。試合中こそ常に一緒にいるものの、ひとたびコースを離れれば、それぞれのプライベートな時間という考え。選手が一人で会場に出入りするのは、ごく普通の光景ですよ」

 それでウッズも自らハンドルを握っていたわけだ。

「海外の大会では、過去10年ほどのチャンピオン経験者に、名前が書かれた看板付きのパーキングスペースが用意されます。クラブハウスから近くて便利な位置に、歴代チャンピオンが自ら運転してきた車を駐める。それが、ある種のステータスでもあるんです」

 数々の栄冠を手にした世界的スターが、再びそのパーキングスペースに降り立つ日は来るのだろうか。

週刊新潮 2021年3月11日号掲載

ワイド特集「春の嵐」より

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