JRA厩務員らの給付金不正受給疑惑 勧誘ビラをまいて儲けた税理士の「正体」

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馬主=税理士側は反論

 JRAは少なくとも昨年秋までに不正の可能性があると見ていた。日本調教師会は同年11月に「JRAで競馬の中止はなく、影響はほとんどなかった」と受給者に返還を求めた。

「受給者はパニックになり、男性税理士側に返還を相談しました。ところが、税理士側は文書を作り、そこには《不適切な申請は一切、行っていません》とし、《返済を推奨しません》とまで書いたのです」(前出の厩舎スタッフ)

 こちらの文書も入手したので、写真でご覧いただきたい。「チェックシート」や「返還に関わる申請依頼書」とは何だろうか。

「男性税理士は文書でも《返済を推奨》しないと明記したわけですが、それでも希望する厩舎スタッフにはチェックシートの記入や、申請依頼書に署名や押印を求めたのです。手間暇をかけさせることで、何とかして返還を阻止したかったのではないでしょうか。そう疑われても仕方ありません」(同・厩舎スタッフ)

 2月18日、男性税理士は「申請時の資料は真正で受給要件を満たしており、適正な手続きだった」(末尾:註2)との文書を発表した。

「不正受給ではない」

 改めて取材を申し込むと、顧問弁護士が電話取材に応じた。

「まず、受給者は100人に満たないことを指摘します。100人とか300人という報道は間違っています。次に、既に二十数人が返金しています。大半が返還する意思をお持ちです。こうした事実から『不正受給』という報道は、正確ではないと申し上げます」

 ビラについては、「顧客に向けたサポートとして、文書を作成したことは事実です」と認めた。

「ただし、配布した方は、契約を結んでいた方など、ごく一部です。ところが、横のつながりで、非常に拡散してしまった。この事実は、報道などの影響で騒動と化した時点で把握しました。税理士側にとっては“青天の霹靂”だったのです」

註1:引用に際しては全角英数を半角にするなど、デイリー新潮の表記法に合わせた。

註2:読売新聞・大阪版・2月19日朝刊「厩務員ら給付金 『適正な手続き』 税理士法人」より

デイリー新潮取材班

2021年2月28日掲載

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