テキヤの親分が語る「初詣は商売成立せず、花見も花火も絶望的、地方に出かけても望み薄」

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異例のこと

 新型コロナウイルスの感染について、高齢者や基礎疾患を抱える人は特に症状悪化が危惧される。

 昨年から密を避けることが求められてきたことは、暴力団業界でも同様だ。

 前出の博徒系の幹部が状況を説明する。

「最近はヤクザになりたいという若い者が少ない。一般社会同様に自然とヤクザの業界も少子高齢化となっている。高齢者が多く集まって密の状態になると非常に危険。多くの組織では定例の会合なども延期や中止が続いている」

 昨年末には指定暴力団稲川会では以下のような、「総本部御通知」が出された。

《『新型コロナウイルス』感染者、再急増により年末年始行事の十二月二十七・二十八日『稲川会納会』 新年一月七日『稲川会年頭挨拶』を感染拡大防止対策として『中止』と致します(中略) 令和二年十二月二十二日 稲川会総本部発》

 毎年の恒例行事を重んじる暴力団組織としては異例のことと言えそうだ。

 首都圏に拠点を置く別の指定暴力団の幹部が、コロナ禍への政府の対応を批判する。

「昨年来、政府の対応がその場しのぎで右往左往だ。安倍政権の時に、初期の対応で腰が引けていた。オリンピックの延期が決まったあたりから自粛要請などに本格的に動き出したが遅い。全国一律での学校閉鎖などは本当に必要だったのか疑問だ」

 さらに、

「コロナ感染拡大が止められなくなったあたりからは有事の段階といっても過言ではなかった。平時ではないのだから強い姿勢が必要だったが、有事としての認識がなく対応が後手に回っていた。引き締めが中途半端だから、再度の感染拡大を招くことになった。菅政権になってもGOTOキャンペーンなどで混乱続きだ」

 社会の様々な方面にまで影響が及んでいる、コロナ禍の収束のめどはまだ先のようだ。

尾島正洋
1966年生まれ。埼玉県出身。早稲田大学政経学部卒。1992年、産経新聞社入社。警察庁記者クラブ、警視庁キャップ、神奈川県警キャップ、司法記者クラブ、国税庁記者クラブなどを担当し、主に社会部で事件の取材を続けてきた。2019年3月末に退社し、フリーに。著書に『総会屋とバブル』(文春新書)。

デイリー新潮取材班編集

2021年2月23日掲載

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