「小池都知事」がとどめの一撃 「森会長」後任にあがる大物の名前

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絶望的な「二階発言」

 質疑はかみ合わず、「面白おかしくしたいから聞いてんだろ」と逆ギレ発言も飛び出して、問題の幕引きを図るどころか、逆に問題を大きくしてしまったのである。

 これなら高齢を理由に書面で練ったコメントを発表したほうがマシだった。舌禍が付き物の老人をノーガードで記者の前に立たせたのだから、事態が収まるはずもない。

 その後に生出演したBS番組でも、
「(発言そのものは)深い意味を持って言ったわけではない。だんだん話が大きく(なって)取り上げられるのは本意ではない」と舌足らずの説明に終始してしまう。

 それでもIOCは当初、「森会長は謝罪した。この問題は決着したと考えている」と声明を出して静観の構えを見せていた。

 しかし、コトはこれで収まらず、「森発言の深刻さと反省のかけらもなさ」は世界に打電され、批判の嵐は強まる一方。海外メディアは森会長の真意なんてまったく興味を持たない。日本のドイツ大使館が、「黙っていないで」や「男女平等」といった呼び掛けをツイッターで発信して、それが各国に広がっていくという動きにも繋がった。

 その動きをさらに加速させたのが、そういった世界の動きに鈍感な自民党の二階俊博幹事長である。8日、森発言を受けてボランティアの辞退が相次いでいることについて、

《どうしてもおやめになりたいということだったら、また新たなボランティアを募集する、追加するということにならざるを得ない》

 と話し、世論の猛反発を受け、さらに翌9日の会見でも、「(前日の発言に)特別深い意味はない」と開き直った。

 こうなってきて事態を収拾できない危機管理能力の低さにシビレを切らしたのか、IOCは同じく9日に、「森発言は完全に不適切」と、つい数日前の声明を撤回するに至る。

菅さんの小言

 そんななかでの「小池都知事による欠席発言」だったわけだ。客観的に見て、開催都市のトップが、森会長と距離を置いた、あるいは見限ったと受け止められても仕方ない。

 自民党の閣僚経験者によると、

「森さんの当初の発言が余計なんですが、何度か収束できるタイミングはあったのに、ことごとく対応を誤った。二階さんの物言いは絶望的だった。森さんがJOC臨時評議員会で問題発言をしているのに、なんで止めなかったんだっていう批判も深刻で、外堀を埋められていった印象もあります。小池さんの今回の発言は、森さんにとっては痛いですよね。もともと同じ清和会で、小池さんは森さんのもとで一致団結してきた時期もあるわけですが、”(森さんは)冷たい。可愛がってくれない”という思いが小池さんの中にあったのは間違いない。ま、それがあろうとなかろうと、一連の森さんの言動を擁護するなんてことはできないんですけれど……」

 今後はどんな流れになっていくのか。政治部デスクに聞くと、

「どうやって森さんの首に鈴をつけるのかということなんですが、誰もそれはできない。菅さん(義偉首相)だって人事権者ではないので無理です。周辺には森さんへの小言を漏らしていますが(笑)。結局は森さんが”辞めます”と言って退くしかないんだと思います」

 後任については?

「会長職はほとんど何もやることがないのですが、無観客とはいえ開催を目指している中で、”顔”がやはり求められます。その意味で最適任は、安倍晋三前首相。現在無役ですし、世界的に顔が売れていますし、秘書が在宅起訴された検察の捜査も一応終了していますから。政治の師だと安倍さんが言う森さんから託されるという流れであれば格好もつくのかなと見ていますが……」

デイリー新潮取材班

2021年2月11日掲載

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