抗体保有率、東京0.91%、大阪0.58%……欧米に比べ遥かに低い数字の読み方

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懸念は変異腫

 集団免疫を獲得するには、人口の60~70%が抗体を持たなければならないとされる。日本はいつになったらこの数字にたどり着けるのか。

「ですからワクチンの接種が必要なのです。今回のコロナが重症化しない単なる風邪程度であれば、積極的に感染を広げればいいわけですが、スウェーデンはその政策を選択したために多くの方が亡くなってしまいました。新型コロナの重症化や死亡のリスクを考えれば、感染を広げて集団免疫を得ようとするのは無謀。今は、ワクチンという手段が目の前にありますから活用すべきです。

 そして、アメリカではすでに3000万人ほどの人がワクチンを接種しているにもかかわらず、それほど重篤な副反応は報告されていません。アナフィラキシーショックも当初は10万人に1人と言われていましたが、現在は20万人に1人と割合が減っています。もちろん、無視していいものではありませんから、接種して30分間は経過観察をしっかり行うことが必要です」

 ただ、再感染したケースも報じられていることから、ワクチンを接種してもコロナにかかるのでは、という懸念もある。

「確かに再感染の例はあります。しかし、これだけ感染者がいるなかで、再感染に関する報告はそう多くありません。アメリカでは二千数百万人が感染しているので、もし再感染があり得るのであれば、数万人の例が出ていてもおかしくはないのですが、そうではない。また、再感染した場合は1度目よりも症状が軽くなったり、出なかったりといったこともあります」

 ワクチン接種を推奨する松本教授にはひとつだけ懸念がある。

「変異ウイルスであれば、再感染する率も高くなり、重症化する可能性もあります。これから市中にどのように広がっていくかで、今後の影響や対応も変わっていくでしょう」

デイリー新潮取材班

2021年2月10日掲載

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