「五輪は無観客開催」に舵を切り始めた「菅内閣」からもれるため息と「打つ手なし」

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ネゴとロジでコケた

「初めはゴールデンウイークまでに、全員とは行かないまでも国民の多くが1度目の接種を受けられる状況を目指していました。そしてそのころに『GoTo』を再開し、人が動くけれどもワクチンの効果でそれほど感染者は増えない、抑え込めているという状況を作って、7月22日からの東京オリパラに進んでいく……そんな青写真を描いていたわけですが、その展望が崩れてきつつありますね」

 今回の第3次補正予算でも「GoTo」予算分を残したのは、そういったスケジュールへの思い入れの裏返しだったのかもしれない。

 そして、「菅首相の落胆」や怒りは、主として厚労省に向かっていたという。

「外国企業とのネゴというのは、“俺は得意だ! 私に任せとけばよかったのに!”などと言う人はいますけれど、やはり難しい。日本政府が慣れていないということもあるんでしょうが、後手後手に回りましたね。世界に先駆けて接種を進めるイスラエルとは雲泥の差です。ワクチンを空輸したりする時期のネゴで手間取り、それをどう実施するかのロジでもつまずき、河野さん(太郎・行政改革担当相)が緊急登板ということになったわけです」

 他方、東京オリパラの開催について、永田町関係者によると、

「決める人たちが“どうしても開催したい人たち”なので開催することは間違いありません。とりあえず開催することで放映権料は確保できますから。問題はどう開催するかですが、海外からは観客を入れずに観客数も絞って開催と無観客での開催とが検討されており、差し当たって無観客での開催の可能性が強まってきています。本当は少しでも観客を入れた方が財政的には楽なのですが、観客を入れるとなるとじゃあどれくらいに絞るのかなど、対応しなければならないポイントが異常に多く出てきてしまう。正直、そのような新たな課題に答えを出している時間的な余裕はないようです。聖火リレーは3月25日に始まりますから、その前の3月10
日ごろ開催予定のIOC総会までには当然大枠は固まっているはずです」

「菅後継」がいない

 では、菅政権の命運は? 自民党のある閣僚経験者がこんな風に見通す。

「補選がある4月政局とか都議選がある7月政局とか言われてきましたけれど、正直それらにリアリティはありません。ワクチンが遅れている以上、支持率が大きく回復する見込みはない。これは仕方ない。とにかくどこまで現状維持ができるかというのがポイント。それで無観客でもオリパラを“成功裏”に終わらせることができれば、菅さんは解散に打って出ることもできるでしょう。逆に、伝家の宝刀を抜けず、総裁選にも出馬できず、という事態も想定できるし、その可能性を指摘する声があがっては来ています。しかし、菅さんが運が良いと言う表現はふさわしくないかもしれませんが、『菅後継』がいないことは間違いない。誰とは言いませんが、色々と名前が挙がっていますけれど、彼ら彼女らを神輿にしてたとえ選挙に勝ったとしても政権運営はそんなに甘いもんじゃない。現状では誰がやっても、遅かれ早かれ立ち往生するでしょう」

デイリー新潮取材班

2021年2月1日掲載

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