「講談社元編集次長・妻殺害事件」 “無罪”を信じて帰りを待つ「会社」の異例の対応

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会社に莫大な利益をもたらした功労者

「否認しているだけではこうはならなかったでしょう。凶器が見つかっている、証言者がいるなど、決定的な証拠があれば、いくら本人が無実を叫ぼうとも解雇せざるを得なかったと思います。また今回の事件では、遺族の処罰感情が露出していないという点も大きい。妻側の遺族は法廷には一切出てこなかった。妻の妹は朴を擁護しているとも聞いています」(同)

 二審で続けて有罪判決が出た場合でも、会社の方針が揺らぐことはないのだろうか。

「それはわかりません。朴は上告するでしょう。ただ、その後に待ち受けるのは最高裁だけです。さすがに確定してしまえば、懲戒解雇せざるを得ないという声もある。刑が確定する前に、朴に自主退職させるというシナリオもあると聞いています」(同)

 すなわちそれは、会社が朴被告に退職金を支払うということを意味する。ある中堅社員はこう指摘する。

「朴さんが会社に莫大な利益をもたらした実績も間違いなく加味されていると思います。累計1億部を超えた『進撃の巨人』も、朴さんが『別冊少年マガジン』の編集長時代に始まった企画。彼が立ち上げた『七つの大罪』はその後スマホゲームとなり、今も毎月1億円の利益をもたらしていると聞いています。退職金を払ってもあまりある貢献です」

拘置所で漫画の原作を描き続ける朴被告

 そんな会社の温情を受けつつ、朴被告は法廷闘争の傍ら、東京拘置所の中で原稿用紙に向かっているという。

「漫画の原作を執筆しているのです。彼を支援している漫画部署に勤める社員たちが、それを漫画化できないかと考えている。解雇される事態となっても収入を維持させたいという思いでしょう。実際、朴さんの腕ならば大ヒットする可能性も高い」(漫画部署の社員)

 朴被告は現在45歳だ。もしこのまま一審判決の懲役11年が確定したとしても、未決勾留を差し引けば50歳過ぎには出所できる計算となる。だが、この間も塀の中から4人の子供を育て上げなければならない。社員ではあるものの休職中のため収入は途絶えたままだ。莫大な裁判費用ものしかかる。窮地の仲間を支えようと一部同僚たちが動いているというのだ。

 もっとも、社員たちの受け止め方は様々だ。ある若手社員は毅然と会社の対応を批判する。

「講談社には『週刊現代』や『FRIDAY』といった報道系の雑誌もあります。これまでもさまざまな殺人事件を取り扱い、時に殺人犯を“鬼畜”といった過激な表現で批判してきました。自社の社員にだけ甘いというのは世間に示しがつかないでしょう。一審判決は重たかったはずです」

 講談社広報室に取材を申し込むと、乾広報室長は次のようにコメントをした。

「朴は現在も講談社の社員です。休職中です。朴は逮捕段階から一貫して無実を訴え続けており、会社として捜査と裁判の推移を見守って参りました。控訴審判決も含め、今後も推移を見守り、慎重に判断していくつもりです」

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