台湾の「ドン・キホーテ」が大行列 “ジャパンブランド”は健在だった

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 1月19日、台湾に「ドン・キホーテ」が初出店した。現地メディアは“会計まで5時間かかった”などの盛況ぶりを報じている。日本の「格安の殿堂」が、なぜ、これほどの人気なのか。流通アナリストの渡辺広明氏が取材した。

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 親日国として知られる台湾では、1990年代後半から「哈日族」(ハーリージュー)という日本の大衆文化を好む若者が現れました。近年では訪日観光客も増えてきていて、その数、2019年で約489万人。中国、韓国に次ぐ多さで、台湾の総人口が2300万人であることを考えると、いかに台湾で日本の人気が高いかが分かります。

 そんなお国柄ですから、台北市西門町にドン・キホーテ(正式な店名は「DON DON DONKI 西門店」)ができることは、現地で前々から話題になっていたそうです。なんでも、300人のアルバイトの募集に、600人以上の応募があったとか。

 台湾の店舗は、1階から3階までの3フロアで、売り場面積は1615平方メートル。日本の店舗同様、食品や日用品を扱います。普通に考えれば、コロナ禍のいま、これだけ大規模の店を開店することは挑戦的です。しかし、日本薬粧研究家・ドラッグストア研究家として活動している台南出身の鄭世彬氏によると、むしろ“今”がチャンスだったようです。

「一年近く海外旅行に行けていないので、海外製品、とくに日本の商品を買いたいニーズは台湾で高まっています。ドンキの盛況の背景には、そうした需要の高まりもあるでしょう。台湾にはすでにマツモトキヨシが出店していますし、日本製の医薬品や化粧品を扱う日薬本舗という店があります。ですから、ドンキに期待されるのは、日本製のお菓子の品揃えでしょうね。2月に旧正月を迎えるというのもポイントです。もともと台湾の人は日本のお菓子が好きで、旧正月に日本のお菓子を手土産にしたり、家族と揃って食べたりするのが、正月風景のひとつとしてありました。そんな旧正月のお菓子需要も、ドンキにはあるわけです」

 現地の報道でも、注目をされているのはグミを始めとしたお菓子、いちごや刺身などの農水産物など、日本の“食”の品揃えのようです。そのほかでは、「鬼滅の刃」や「ポケモン」などのエンタメグッズの需要も大きいでしょう。

 日本でドンキといえば、深夜に行っても賑やかなディスカウントストア、というイメージが強いと思います。そんな営業形態も台湾の事情とマッチしていると、鄭氏は指摘します。

「台湾の夜市、屋台文化を思い浮かべて頂くと分かると思いますが、台湾人はどちらかというと夜型です。もともと24時間営業や、深夜早朝までやっているお店は多かったのですが、そこに人気の日系商品を大々的に扱う24時間営業のドンキが現れたことは、強みでしょう。この人気はしばらく継続すると思いますよ」

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