台湾の「ドン・キホーテ」が大行列 “ジャパンブランド”は健在だった

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シンガポールの店で人気だったのは…

 実はドンキは、他国の店舗も人気です。現在、アジアで展開されている店舗は、シンガポールに8店舗、タイに2店舗、香港に6店舗。その人気ぶりは、2019年にシンガポールの店舗を視察した時に実感しました。

 台湾と同様、日本の化粧品やお菓子が人気なのは予想できましたが、意外にも人気だったのは「焼き芋」。私が訪れたときは、行列ができていました(写真)。タイ在住の知人によると、バンコクの店舗でもドンキの焼き芋は人気だそうです。シンガポールやタイで一般的に売られる焼き芋にくらべ、日本の焼き芋は甘くて濃厚なんだとか。

 シンガポールではいくつか現地の小売店を回りましたが、いたるところで刺身などを扱う「日本コーナー」ができていました(写真)。現地のガイドさんの解説によると、これはドンキがシンガポールにできた影響だそう。この時は、同国に第1号店ができて2年が経つタイミングでしたが、シンガポールで日本ブームが起きていたそうです。

 実際、ドンキのアジア店舗は、メイドインジャパン、または日本市場向けの商品を揃える戦略をとっています。つまりドンキは、日本の商品力を告知する、フラッグシップの店になっているわけです。まさに日本のアンテナショップです。

 一説によると、狭い空間にジャングルのように商品が置かれているドンキ特有の陳列が、やはりごちゃごちゃしたアジアのローカル市場のイメージと合い、親和性が高いという話もあります。

 将来、日本は人口減や超高齢化によって、国内マーケットの規模は縮小すると予想されています。“メイドインジャパン”商品が海外で人気を獲得することで、日本国内の経済も活性化されることも期待したいものです。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ『FNN Live News α』レギュラーコメンテーター、デイリースポーツ紙にて「最新流通論」を連載中。

週刊新潮WEB取材班編集

2021年1月25日掲載

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