“阪神ドラ8”が一番手!? 「下位指名」でも一軍で活躍が期待されるルーキー5人

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 2月1日のキャンプインを控え、プロ野球では新人の合同自主トレが話題となる時期となった。昨年のドラフトでは早川隆久(早稲田大→楽天)、佐藤輝明(近畿大→阪神)に4球団が競合したが、一番人気の選手がルーキーイヤーにそのまま活躍するとは限らない。そこで今回はドラフトで下位指名ながら、一年目から一軍の戦力となることが期待できる選手をピックアップして紹介したい。

 投手でまず面白いのが支配下では、全体でも最後となる74番目に指名された石井大智(阪神8位)だ。5年制の秋田高専を卒業後、四国アイランドリーグの高知ファイティングドッグスに入団。2年目の2019年からエース格となり、23歳となる3年目の昨年、念願のドラフト指名を勝ち取った。

 175cmと投手としては決して大柄ではないが、高い位置から縦に鋭く腕を振り下ろすフォームが特長で、ボールの角度は申し分ない。コンスタントに150キロに迫るストレートと、鋭く変化する縦のスライダー、シンカーを低めに集めるピッチングは安定感抜群だ。投高打低と言われる四国アイランドリーグだが、2019年は108回1/3を投げて122奪三振、昨年は101回を投げて129奪三振と打者を圧倒する投球を見せている。

 また、与えた四死球が過去2年で38から13と大幅に改善しているのもプラス要因だ。高知では先発を任されていたが、三振を奪える必殺の変化球があることを考えると、緊迫した場面での中継ぎとして起用しても面白いだろう。ブルペン陣を支えていた藤川球児、能見篤史のベテラン二人が球団を去っただけに、新たな風を吹き込む存在として期待が集まる。

 このほか、大曲錬(西武5位)、阿部翔太(オリックス6位)の二人の投手も面白い存在だ。大曲は高校時代、サイドスローの控え投手だったが、福岡大の準硬式野球部に進み、投げ方を変えて、腕を上げたことで才能が大きく開花。3年時にスピードが150キロを超えて評判となり、4年春のリーグ戦には、準硬式としては異例といえる多くのスカウトが足を運んだ。スピードボールが先行して報道されているものの、流れのスムーズな安定したフォームでコントロールと変化球のレベルも高い。硬式球への対応を危惧する声があるが、高校までは硬式でプレーしており、最後の秋には福岡大の硬式野球部で練習を重ねて準備を進めていただけに、意外に早く戦力となる可能性があるだろう。

 一方、阿部は28歳で指名を受けたオールドルーキー。社会人屈指の強豪である日本生命で3年目から主戦として活躍しており、安定感は社会人球界でも屈指だ。145キロを超えるスピードはあるものの、フォームもボールも比較的オーソドックスなだけに、プロで軸となる決め球を見つけられるかがポイントとなりそうだ。

 野手では、中野拓夢(阪神6位)と今川優馬(日本ハム6位)を推したい。中野は東北福祉大時代から三拍子揃った選手として目立っていたが、年々打撃の力強さがアップしてきたい印象を受ける。171cm、69kgと小柄ながらヘッドの走りは素晴らしく、スタンドまで飛ばすパンチ力も持ち味だ。元々守備には定評があり、セカンドとショートどちらも高いレベルでこなすことができる。チームは内野守備の立て直しが一つの課題だけに、二遊間のレギュラー争いに加わる可能性も十分だ。

 一方の今川は、長打力が魅力の右の強打者。本格化したのは大学4年時からという遅咲きの選手だが、社会人では1年目の都市対抗で宮川哲(西武)からライトへ一発を放つなどチームの優勝に大きく貢献し、新人賞にあたる若獅子賞も受賞した。少しアクションの大きいスイングだが、ボールを飛ばす力に関してはレベルの高い社会人の中でもトップクラス。さらに広角に長打を放つことができる。明るいキャラクターも大きな魅力で、低迷するチームを活気づける役割としても注目だ。

 過去には小坂誠(1996年ロッテ5位)、赤星憲広(2000年阪神4位)、三瀬幸司(2003年ダイエー7巡目)、摂津正(2008年ソフトバンク5位)、益田直也(2011年ロッテ4位)など下位指名でのプロ入りながら、一年目から大活躍して新人王に輝いた例もある。今回取り上げた5人も、彼らのように一年目からブレイクしてくれることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2021年1月23日掲載