日本のドラマ界を背負ってきた「長瀬智也」24本目の主演ドラマ「俺の家の話」と「ポスト長瀬」

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3月末でジャニーズを退所

 3月末をもってジャニーズ事務所からの退所が発表されている長瀬智也。TOKIOのメンバーとしては最後の主演ドラマとなる可能性も高い「俺の家の話」が本日から放送される。主演した連続ドラマだけで23本。本人の思い入れも強く、90年代から現在にいたるまでの日本のドラマを背負ってきたと言っても過言ではない。『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の著者・霜田明寛氏がその足跡を振り返り、“ポスト長瀬”になりうる、ジャニーズ俳優を予想する。

「僕はドラマに育ててもらったし、やっぱりテレビドラマが好きなんです」とテレビドラマへの思い入れが人一倍強い長瀬智也。(*1)

 23本の多種多様な連ドラで主演を飾っているが、ジャニーズ事務所でもうひとり、90年代から現在にかけて、ドラマに主演し続けた俳優・木村拓哉と比べると、その傾向の差がわかりやすい。

 90年代後半以降、月9ドラマ出演が主に活動の主軸だった木村拓哉に比べ、長瀬智也の月9ドラマは1本のみ。初期の木村が主戦場にしてきたラブストーリーも少なく、多様な作品に出演していることがわかる。

 長瀬の出演作品と俳優としての歩みを、時代とともに4つの傾向に分けて見ていこう。

1.まずは2枚目期(1993年~)

 ドラマデビューは1993年だが、長瀬智也が一躍注目されたのは、当時17歳で主演した1996年の連続ドラマ「白線流し」(フジテレビ)だ。岐阜県の高山市の高校で実際に行われている「白線流し」という行事を題材にしたストーリー。

 実は平均視聴率 11.2%と、当時の基準からすると大ヒット作という数字ではないのだが、人々の記憶に残る作品となり、「19の春」「二十歳の風」といったかたちで、連ドラでは高校生だった彼らの卒業後を描くスペシャルドラマが、9年後の2005年まで5作にわたって制作された。

もはや伝説

 同じように青年の成長を時代とともに追っていく形式である「ふぞろいの林檎たち」の最終シリーズにも長瀬は出演している。

 ちなみに近年、山田太一脚本の連続ドラマに出演したジャニーズは長瀬智也のみ
(単発ドラマでは堂本光一・今井翼・関西ジャニーズJr.の西畑大吾などがいる)。

 90年代以降、山田太一の連ドラの数が減ったこともあるが、一面的な人間の描き方をしない山田太一の脚本に耐えうる、人間の奥行きと多面性を表現できる力があった数少ない存在だった……という言い方もできるだろう。

 他の多くのジャニーズ俳優がそうであるように、デビューしてから数年の長瀬は、2枚目の役ができるのが基本形。

 ルックスがよい長瀬にそのような役がくるのは頷ける話なのだが、このあと、ある脚本家との出会いから、一気にその幅を広げていくことになる。

2.クドカンとのタッグがうまくいき3枚目もいけるように(2000年~)

 2000年4月、もはや伝説と言ってもいいドラマが放送される。

「池袋ウエストゲートパーク」(TBS)だ。

 ブレイク前の窪塚洋介、高橋一生、佐藤隆太、妻夫木聡、阿部サダヲ、坂口憲二にジャニーズJr.時代の山下智久に、世界的評価をされる前の渡辺謙……と、その3年後のスペシャル版制作時ですら同じメンバーを集めることは困難だったと思われるキャストが並ぶこのドラマの主演を務めたのが当時21歳の長瀬だ。

 今や大河ドラマ脚本家である宮藤官九郎の連ドラデビュー作でもあるこの作品。これを機に宮藤官九郎は一気に人気脚本家の地位に上り詰めた。

「石田衣良さんの原作には、もっと格好いいシーンがいっぱいあったのに、僕が見たかったのはそこじゃなかった(笑)」(*2)と宮藤が語るように、長瀬が演じたマコトは、もちろん見た目はかっこいいのだが、例えば冒頭はトイレでエロ本を見ながらいちごを食べる場面から始まるなど、3枚目にも見える。

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