「毎日新聞本社」地下で年末年始を過ごしていた、コロナ感染した“パラサイト男”

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人事部長、総務部長の立ち会いの下

 件の宿直室を利用したことがあるという中堅社員によると、

「宿直室とは、宿直勤務のある社会部などの記者が仮眠する“泊まり部屋”。2段ベッドがずらっと並んで、部署ごとに場所は割り当てられていますが、一床ずつカーテンで目張りがされているので、空いているベッドに誰が寝ていても分かりません。ただ、いわゆる蚕棚のような相当に密になるスペースなので、そこにコロナ患者がいたと思うとぞっとしますよ。飲食店がテナントに入る区画とは別ですが、社内の構造を分かっている人間なら簡単に入れてしまいます」

 毎日新聞社は、騒動後ただちに宿直室を閉鎖し、補助員男性が地下室にパラサイトしていた期間に、近くのベッドや同じシャワーブースを使った社員30人近くにPCR検査を実施。

 さらに、4階の編集局まで消毒するなどの対策に追われることになった。

 幸いなことに、現状では社員への感染拡大は起こっておらず、年末に食事を共にしていた補助員8人が出勤停止になった程度で収まっているという。

 一方、コロナに感染した当の補助員は、感染が分かった翌7日以降も地下室を追い出されることなく、同じフロアにある女性用の休憩室に移されて隔離。

 9日午後になってようやく、同社の人事部長、総務部長の立ち会いの下で、療養先のホテルに移送されていったそうである。

毎日新聞社に尋ねてみると

 正月早々の災難にもかかわらず、同社の社員は何ともおおらかだ。

 あるベテラン社員も、こう話す。

「保健所の指導なのかもしれませんが、まさか普段は人権を説いている新聞社が、コロナに感染した宿無しの若者を寒空の中に放り出すわけにはいけませんからね。大きな声では言えませんが、今の本社の幹部連中でも、酔っ払って帰れなくなり、本社に戻って宿直室に泊まったことのある人はたくさんいる。昔はそういう振る舞いが許された風潮がありましたから。今回の話を聞いて、バイトの人選も、施設の管理の甘さも、良くも悪くも緩いというか、何ともうちの会社らしいという気がしましたよ。補助員の子もまだ若いでしょうし、まずはコロナをしっかり直して、若気の至りをバネに頑張ってほしいですよね」

 一連の出来事について、毎日新聞社に尋ねてみると、

「アルバイト男性がPCR検査を受け、新型コロナウイルス陽性と判明したのは事実ですが、プライバシー保護のため詳細はご説明しておりません。判明後は隔離し外部との接触はなく、関係箇所も消毒済みで、社内への2次感染も確認されていません。なお、新型コロナウイルスへの感染事案については、社外の方に影響する可能性があるなど必要と判断した場合は公表しております」

 本家映画では、悲劇的な結末が待ち受けているが、毎日新聞社版「パラサイト」はそうはならないようだ。

 発行部数減少の向かい風で経営は厳しくとも、まだまだ在りし日の面白みは失っていないということだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2021年1月15日掲載

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