「韓国拘置所」入所者の半数が「コロナ感染」という地獄と「コロナ自殺・死産・医療崩壊」

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コロナの死者は感染者だけではない

 韓国ではこの年末年始、コロナに絡む悲劇と行政の不手際が際立ち、コロナ自殺・死産・医療崩壊が次々に報じられた。わけても、ある拘置所では入所者の半数がコロナに感染するというとんでもない事態に。文在寅大統領のお気に入りで、最高責任者の法務部長官が政局にうつつを抜かしている間の惨事だった。

 韓国政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「首都圏で実施している防疫体制レベル2.5段階、非首都圏2段階」を1月17日まで延長すると発表。飲食店の営業時間を制限し、5人以上の会食や集会などの集まりを禁止している。

 それにしても、コロナに絡む悲劇と行政の不手際が際立つ年末年始だった。

 ざっと例を見ていこう。

 20年12月15日、60代の新型コロナウイルス感染者がソウル市内の自宅で死亡した。

 この感染者は同月11日に検査を受け、翌12日に感染が確認。

 地域を管轄する東大門区保健所は、特段の症状が見られなかったためソウル市の生活治療センターに入院させることを決めたが、ソウルで感染者が激増して病床の手配が間に合わず、すぐに入院させることはできなかった。

 自宅で待機していたこの感染者が14日早朝、保健所に「血痰が出て咳の症状がある」と連絡すると、保健所は市に緊急入院を要請。

 しかし、市はすぐには病床を用意できず、翌朝、救急隊が到着したときにはすでに死亡していた。

 コロナの死者は感染者だけではない。

 先日、大邱でジム兼リハビリ治療センターの経営者が亡くなった。警察は営業中断による経営難を苦に自殺したと見ている。

 大邱市は昨年2月、韓国で最初に集団感染が発生し、スポーツ・ジムやフィットネスクラブなどが2か月間の営業休止に追い込まれた。

 規制が緩和されると営業を再開したが、感染が拡大するたびに営業禁止措置が取られて経営難に陥った。

レベル3に指定された拘置所・刑務所

 3度に亘る営業禁止で打撃を受けたピラティスおよびフィットネス事業者連盟所属の経営者153人は12月30日、政府を相手取って損害賠償請求訴訟を起こした。

 請求額は1人当たり500万ウォン(約47万円)、計7億6500万ウォン(約7200万円)で、と同時に経営者らは使用人数制限など、状況に応じた運営許可を政府に要望していた。

 経営者の遺体が見つかったのは、提訴の2日後だった。

 政府がジムなどの利用を規制するたびに、運動不足を解消しようと市民は公園に殺到した。

 外出自粛措置に伴って電車や地下鉄の間引き運転が始まると、運行間隔が長くなった駅のホーム、そして運行本数が少なくなった電車は混雑した。

 12月1日には大学病院を退院したばかりの妊婦が発熱と悪寒を訴え、配偶者が救急車を手配。

 妊婦は直近に入院した大学病院を指定したが、同病院の救急室がコロナ対策を理由に受け入れを拒絶するなど3時間に及ぶ病院のたらい回しに遭い、妊婦は一命をとりとめたが、死産となってしまった。

 一方、法務部は、12月31日から1月13日まで、拘置所や刑務所など矯正施設の防疫体制を最も高い第3段階に強化した。

 具体的には入所者の接見や作業、教育などを中断し、弁護人の接見も制限され、また手紙の発受信なども禁止された。

 拘置所に端を発した集団感染がさらなる感染を呼び、死者が出て歯止めが効かなくなったからだ。

 集団感染の舞台となったソウル東部拘置所では、1月3日時点で入所者1036人、職員22人などあわせて1100人弱の感染者が確認されている。

 入所者は2400人余りで、およそ43%が感染した計算だ。

 感染はもちろん職員の家族や出所者にも広がっている。

 最初にコロナ感染者が確認されたのは11月27日で、家族から感染した職員だった。

 東部拘置所は、内廊下の密閉型で感染が拡散しやすい構造だという。

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