「韓国仏教」の生臭ぶり ポルシェに賭博、政府予算の横領、信者にブロマイド購入強制

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窃盗を働いた結果…

 僧籍を離れた元曹渓宗僧侶が、ある寺院に侵入して窃盗を働いたことがあった。

 盗難品は3億5千万ウォン(1ウォン=0.094円)のゴルフ場会員権と5千万ウォン相当のティファニーのダイヤモンド時計、1千万ウォンを超えるサファイア指輪などで、皮肉なことに、僧侶の贅沢な暮らしぶりに批判の声が上がった。

 さらに、ポルシェやアウディなど高級外車やゴルフ会員権を所有し、境内にテニスコートなど運動施設を整備する名目で得た資金で、ゴルフの練習施設を作る住職は数知れない。

 2012年5月9日、僧侶が賭博に興じる動画が公開された。

 百済時代から続く古刹・白羊寺の住職が亡くなり、その四九日法要に出席するため、近くのホテルに前泊した曹渓寺前住職の中央宗会議員ら8人の僧侶がたばこを吸い、酒を酌み交わしながらポーカーに興じた動画で、1万ウォン札や5万ウォン札が飛び交っていた。

 僧侶たちは4月23日午後8時から24日午前9時15分まで徹夜で賭博を行い、24日10時から始まった法要に出席した。

 動画が公開された翌日、曹渓宗は8人を賭博容疑で検察に告発し、教団トップの宗正真際和尚が公式に謝罪、総務院の執行部6人全員が辞任。

 賭博動画は、総務院長ポストの選挙を巡って対立した派閥の関係者が設置した隠しカメラで撮影されたと見られている。

 事件を告発した僧侶は、2010年に総務院長の経歴詐称疑惑を指摘し、院長の当選無効を主張する訴訟を起こして曹渓宗から僧籍を剥奪されていた。

 そして11年12月には、曹渓宗の僧侶がソウル・江南地区の風俗店に出入りしていた疑惑の調査を求めるデモを総本山曹渓寺前で行っている。

 同5月18日には、「徹夜賭博」を報道した仏教系放送の代表者が僧侶から暴行を受ける事件が発生した。

 加害者はソウル都心の副住職だったが、賭博動画に“出演”した後、副住職と宗派会議員を辞任、教団の役職に就くことができない「公権停止3年」の懲戒処分を受けていたのだ。

信者は僧侶のブロマイドを求め

 朝鮮総督府は「寺刹令」を発布し、韓国寺院をはじめは30、後に31の本山とその本山の下に末寺を配置するピラミッド構造を構築して仏教寺院を監督した。

 また総督府の近くに創建した覚皇寺に本山連合事務所を置き、各本山の住職から選定した委員長に連合事務を担当させた。

 本山制は戦後、廃止されたが、朴正煕政権時代に大韓仏教曹渓宗が25教区本山制度を導入して「曹渓寺」に改称された覚皇寺が総本山となった。

 2008年、曹渓宗と韓国観光公社は観音霊場の札所を巡る「韓の国三十三観音聖地」を整備した。

 日本からの独立を宣言する宗派が、日本人観光客の集客を至上命令とする公社の協力を得て、日本各地の三十三所巡礼を模倣したのである。

 曹渓宗本山の売店には、僧侶らの肖像写真や読経CDが並んでいる。2020年もクリスマス前にはクリスマス・ツリーがお目見えした。

 韓国の若者がK-POPアイドルのブロマイドや音楽データを求めるように、信者は僧侶のブロマイドを求め、読経CDを購入する。

 クリスマス・ツリーや信者の子供がサンタの着ぐるみを着て並び、“お祭り”気分を盛り上げるのだ。

 本山は最小60、最大300の末寺の住職の人事権を有しており、本山の住職が代わると末寺の住職も入れ替わる。

 僧侶たちは住職の座を“購入する”上納金を稼ぐため、ファンを増やして本山の権力者に貢ぐ資金集めに奔走しているのだ。

佐々木和義
広告プランナー兼コピーライター。駐在員として渡韓後、日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える広告制作会社を創業し、現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2021年1月1日掲載

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