反原発本を出版した自民党3期生議員、「石破元幹事長」「宮沢元経産相」との確執を暴露

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 永田町で、自民党の若手議員が書いた「反原発本」が話題になっている。著者は、菅グループに所属する3期生議員の秋本真利氏(45)。当選以来、一貫して「反原発」を貫いてきた秋本氏は、著書で「原発推進派」の党内重鎮との間にあった攻防の内幕を暴露。中には石破茂元幹事長から受けた“いじめ”とも取れる内容もあり……。

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 秋本氏は千葉県富里市議会議員を経て、2012年に初当選した3期生議員。当選直後から、雑誌インタビューで核燃料サイクルや原発輸出に異論を唱えるなど、自民党に属しながら「反原発」を貫く“異端児”として注目されてきた。最近は、菅首相を支える若手グループ「ガネーシャの会」の中心メンバーとして、“菅総理側近”の肩書きでメディアに出ている。

 そんな秋本氏がこのほど上梓したのが『自民党発! 「原発のない国へ」』(東京新聞)。自民党議員らしからぬ過激なタイトルも目を引くが、注目すべきは内容だ。これまで「反原発」の信条を貫き通してきた過程で、党の名だたる重鎮たちから“嫌がらせ”を受けてきたと暴露しているのだ。

 最も恨み深く描かれているのが、石破茂元幹事長である。

 発端は、2014年4月に衆議院本会議で、トルコとアラブ首長国連邦(UAE)への原発輸出を可能にする原子力協定の承認案が可決された際、秋本氏が自民党でたった一人退席したことだったという。秋本氏が当時、名もなき1期生議員だったことを考えれば、大胆不敵な行動だ。同じく反原発の“同志”であり大先輩にあたる河野太郎(現・行政改革担当大臣)氏でさえも、起立採決の際に「中腰」に立って抗議の意思を示しただけだった。

当時、幹事長だった石破氏に意趣返しで「約束を破られた」

 その後のハレーションを、秋本氏は同著であけすけに明かす。

〈佐藤勉国会対策委員長(※当時)に呼び出され、「自分一人の主張を貫いて何になるんだ。いい迷惑だ」と油を絞られました。一方、石破茂幹事長(※当時)からは「1期生の最大の仕事は2期生になることだ。ペナルティを課して若い芽を摘みたくはない」と励ましていただき、その時は「ああ、いい幹事長」だなと思いました〉

 こう一度は、石破氏を持ち上げた秋本氏だが、すぐに〈それはとんだ買いかぶりでした〉と続ける。

〈この数ヶ月後、私の地元後援会から300人くらいが国会見学に来ることになっていて、石破幹事長に講師をお願いしていたのですが、石破さんは直前になって「スケジュールの都合がつかない」と断ってきたのです。

 こちらとしては、幹事長の話が聞けると宣伝して人を集めていたので大慌てです。日時をずらしても構わないので何とかならないかと頼んでも、取りつく島もありません。そうこうしているうちに、石破事務所の秘書に「察してください」と耳打ちされ、ようやく原子力協定が原因だと気付きました〉

 ねちっこい“いじめ”にあったというのだ。なお、同著では石破氏だけでなく、宮沢洋一元経産大臣との因縁も振り返っている。秋本氏は15年3月に、予算委員会で福島第一原発の汚染水浄化処理の状況について質問に立った際、“身内”であるにもかかわらず容赦無く経産大臣だった宮沢氏を追及した。すると、

〈宮沢さんはその後、党の税制調査会長に就任します。ある時、私が税制調査会の会合で発言の機会を求めていくら挙手しても、宮沢会長は私の方を見向きもせず、当ててもらえないことがありました。まさか、予算委員会でのやりとりを根に持っているわけではないと思いますが〉

次ページ:本人に直撃すると「書いてある通りですよ」

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