反原発本を出版した自民党3期生議員、「石破元幹事長」「宮沢元経産相」との確執を暴露

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本人に直撃すると「書いてある通りですよ」

 これまた陰湿な“無視”かもしれない。とはいえ、党のお偉方相手にこんなことを書いちゃって大丈夫なのか。ご本人に聞いてみると、

「そういうところだけに注目なさらず、なぜ原発が不必要か、原発に代わる再生可能エネルギーがいかに有用かなどについて詳しく書かせてもらいましたので、全体を読んでいただければありがたく思います」

 と受け流す秋本氏。ただ、やはり周囲からは“過激”との評価を受けたようで、

「菅総理にも直接届けましたが、すぐさま手に取って読んでいただき、『徹底しているなぁ』と感想をこぼされていました。河野さんには帯を書いていただきましたが、本を届けると、目の前で熟読し始め、『結構、書いちゃっているなぁ』としみじみ言ってました」

 生来の度胸なのか、はたまた、菅首相という“勝ち馬”に乗っているという安心感なのか……。とりわけ石破氏についての恨み節が満載だったがと、話を向けると、

「書いてある通りですよ。ただ今になって、自分があの時に取った行動を思い返してみて、信条は正しかったとは思いますが、やり方としてはどうだったかと振り返るところはあります。1期生として経験不足で、まだ分かっていなかったところもある。表現の仕方として別のやり方があったかもしれません。あの頃は『共産党に行けば』と言われたこともありますしね」

石破氏は「私はそんな意地悪はしませんよ」と否定

 一方、石破氏は“いじめ”疑惑にどう答えるか。本を読んでいないというので、秋本氏が書いた詳細を伝えると、ため息混じりで、

「それはないよ……。記憶がないし、ウチの事務所はそんなことはしませんよ。妄想か思い込みでしょう。あの時は1期生がたくさんいましたが、1期生が飛び跳ねるのは当たり前。『最大の仕事は2期生になることだ』ということはその通りだし、本心で言いましたよ」

 ただし、約束した講演を採決で退席したことを理由に、キャンセルしたことなど絶対にないと強調する。

「私はそんな意地悪しません。私自身、1期生から2期生になる時、大変だった経験がある。1期生が支援者を集めているというならば、協力しようと考えるほうですよ。どういう思い違いかわかりませんが、それにしても、『買いかぶりでした』なんてのは先輩の議員に向かって言うことではないよね」

“いじめ”があったかどうかは双方で見解が異なるようだが、そもそもの疑問として、この『原発のない国へ』というタイトル、自民党の政策と相反するのではないか。秋本氏は毅然と否定する。

「いいえ。私は安倍政権の頃から言い続けていますが、齟齬はないと思っています。安倍政権では『原子力エネルギーを可能な限り低減して再生可能エネルギーを可能な限り導入する』という公約でした。可能な限り低減するというのは、つまりはゼロを目指すということ。菅政権も、基本的には安倍政権の政策を踏襲し、さらに2050年に温室効果ガスを実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする目標を掲げています。根底にあるのは、再エネを積極的に取り入れていこうという考え方です。著書でも詳しく書きましたが、原発より再エネが経済的にも優れていることは、数字ではっきり証明されているのです」

 秋本氏はこう力説するが、党内ではむしろカーボンニュートラルにかこつけて原発の再稼働や新増設を求める声が日毎に大きくなっているとも伝えられている。果たして、秋本氏は再び採決で起立を求められた時、重圧にめげずに“信念”を貫き通せるのか――。

週刊新潮WEB取材班

2020年12月28日掲載

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