「堂本光一」が演出家として行う、「ジャニー喜多川の夢」の引き継ぎとレクイエム

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正式に「DREAM BOYS」の演出に就任

 ジャニー喜多川作・構成・演出の「DREAM BOYS」。今年もKing & Princeの岸優太と神宮寺勇太らが出演し、幕を開けた。

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 2004年の初演以来、滝沢秀明・亀梨和也などを主演に帝国劇場で上演され続けてきた舞台だが、昨年2019年は、9月の上演を前に、ジャニー喜多川が準備を進める最中に、帰らぬ人に。滝沢秀明がプロデュース面を、堂本光一が演出協力として関わるなどして、完成させた。

 そして今年の「DREAM BOYS」は、堂本光一が正式に演出に就任。約15年のあいだジャニー喜多川が演出してきた舞台が、どう変化したのかを含め、見ていきたい。

 とはいえ、実は堂本光一がジャニー喜多川の舞台を“引き継ぐ”のは、これが初めてではない。

 ジャニー喜多川作・構成・演出の舞台「MILLENNIUM SHOCK」において、2000年に当時21歳で、「帝国劇場史上最年少座長」を務めた光一。

 そこから現在まで公演回数は1700回を超えるが、2005年には自ら進言し、「Endless SHOCK」として演出・脚本などに関わるようになった。

堂本光一演出版「DREAM BOYS」は?

 ジャニー喜多川のことを、堂本光一は「ジャニーさんは、言葉の伝わらない外国の方が観ても楽しめる作品を作るのが好きな人」と評している。(*1)

 ジャニー喜多川の舞台は目にも楽しい。

 たしかに、これまでのジャニーの演出を振り返ってみても、サーカスのようなイリュージョンはもちろんのこと、噴水の中を水着姿で走る少年や、少年たちが家に入っていき、その家が潰れてしまう演出など、アートといってもいい領域である。

 その演出は、言葉による定義が少ない分、観客に解釈が委ねられる部分も大きい。ジャニー喜多川は、美しい顔の少年たちという魅力的なアイコンを媒介にして、高尚な表現をしていたアーティストだったとも言えるだろう。

 堂本光一は自分のことを「結構ジャニーさんに対抗していくタイプの人間でした」、「ジャニーさんにとっては、多分僕は、厄介者だと思うので(笑)」(*1)と語っている。

『SHOCK』のときは光一が変えた演出に、ジャニーが「勝手にすればいいじゃない」と怒って帰ったというエピソードも。舞台の演出面では少し違った視点を持っている2人なのだ。

 関ジャニ∞の村上信五が、ジャニー喜多川版の「SHOCK」に対し「ストーリーはちんぷんかんぷん」と言ったときに、「やってる俺らもちんぷんかんぷん」と応じていたこともあった(*2)。

 実際、今年の堂本光一演出版「DREAM BOYS」は物語としてすっきりとして、わかりやすくなった印象だ。

「おもちゃ箱をひっくり返したような雰囲気」をジャニーは好む、と光一は語る。(*1)

 今回、光一が台本に手を加える作業は、ひっくり返されたおもちゃたちの必要・不必要を吟味し、部屋の中に綺麗に並び替えるようなものだったのかもしれない。

 残って並べられたおもちゃたちは物語を紡ぎ出す。

 そうして、新しい「DREAM BOYS」は、アートに物語という解説文が加えられることによって、より理解されやすい形になっていたのだ。

 もともと、「ファンサービスみたいなのを全くしないタイプの人間」だという光一(*3)。

 これまで設けられていたショータイム(物語とは関係なく、タレントたちがライブのように楽曲を歌い踊る時間)も削られ、2時間で完結するひとつのミュージカルを完成させた。

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