梶谷隆幸が巨人入りで「第二の陽岱鋼」の懸念 広澤克実氏は「プレー中の表情」を心配

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毎日がプレッシャー

「DeNAは自由奔放なチームカラーが魅力ですが、巨人ではユニホームを崩して着ることすら許されません。長嶋さんや王さんが築いてきた伝統があり、それを選手は遵守することを求められます。私も自由な雰囲気のヤクルトから移籍したので、最初は“チーム文化”の違いに戸惑いました。おまけに、こうした気苦労は意外なほどプレーに影響を与えるものなんです」(同・広澤氏)

 昭和の時代、巨人戦は必ず地上波で中継されていた。今では年間数試合しか放送されないとはいえ、依然として巨人に対する世間の注目度は高い。

「巨人とDeNAの試合を想像してみましょう。2死満塁で、DeNAの梶谷くんが三振で倒れたなら、スポーツ紙もファンも巨人の投手を褒めます。ところが2死満塁で、巨人の梶谷くんが三振で倒れたなら、スポーツ紙もファンも梶谷くんを非難するでしょう。巨人の選手は常に注目されている。そのプレッシャーは非常に厳しいものがあります」(同)

 巨人の選手は一挙手一投足が何かと話題にされる。「ミスをした時にどんな表情だったか」という話でさえ、時には議論を呼ぶ。

「三振やエラーをした場合、ぶすっとした表情を浮かべたり、ベンチでふて腐れたりするのを、巨人ファンは嫌がる傾向があります。梶谷くんが巨人に入団したら、『自分の顔が、ファンからどのように見られているか』、特に『ミスをした時、どのような表情を浮かべればいいか』ということを意識したほうがいいと思います」(同)

陽岱鋼と丸佳浩

 梶谷にとって何より怖いのは、「巨人にFAで入団して、キャリアハイを更新した選手は滅多にいない」という事実だ。

 プロ野球ファンにとって陽岱鋼(33)は、巨人のFA獲得における失敗例と認識されている。一方、丸佳浩(31)は、成功例というイメージがある。しかし広澤氏は、これに異議を唱える。

「丸くんが巨人の優勝に貢献したのは事実でしょう。とはいえ、今季の本塁打は27本、キャリアハイは18年の広島、39本です。打率は2割8分4厘でしたが、14年の3割1分が最高です。広島時代の彼は、どこに投げても打つのではないかという恐怖を、ピッチャーに与えていました」

 今年の日本シリーズでの不調も記憶に新しい。実は巨人は、選手の練習環境などが充実していないという。

 東京ドームに雨天練習場がなく、多摩川に練習施設が集中しているため、シーズン中は素振りをする場所を探すだけでも一苦労なのだ。

 練習に対する欲求不満を抱えていると、更に「巨人の選手」というプレッシャーがのし掛かってくる。

「FAで巨人に入団すると、愚痴を口にすることすら許されません。ファンからも関係者からも『高額の契約金でジャイアンツの一員となったくせに、弱音を吐くのか』と言われてしまいます。人間ですから弱音も吐きたい。ストレスを発散したいこともあります。それをぐっと飲み込まなければならない辛さは、巨人に特有のものだと思いますね」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年12月14日掲載

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