「文在寅」急速な「日韓融和」の裏戦略 米国への“媚び”、南北関係の進展が狙い

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 一体どの口で言うのか。ここに来て、韓国の文在寅(ムンジェイン)政権が急に日韓融和に向けた動きを加速させている。三つ子の魂百まで、日韓合意破棄に象徴される「横紙破り」の“癖”がそう簡単に直るわけもなく、案の定、表向きの美辞麗句の裏にはとんでもない策略が……。

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 今、韓国の態度が急変している――。

 龍谷大学の李相哲教授が、

「現在、文在寅政権は日韓関係改善に向け、しきりに日本に対し秋波を送っています」

 こう解説するように、韓国は慌ただしく日韓融和に動き出しているように映る。しかも、それは「怒濤」とでも評すべき波状的な動き方なのだ。

 まず11月10日、韓国政府から日本に派遣された国家情報院の朴智元(パクチウォン)院長が菅義偉総理と会談し、日韓首脳による新たな「共同宣言」を持ち掛けた。1998年、その4年後に控えていた日韓共催のサッカーワールドカップに向け、当時の小渕恵三総理と金大中(キムデジュン)大統領によって発表された日韓共同宣言を再びというのだ。日韓融和の演出その1である。

 次に同月13日、菅総理と面会した韓日議員連盟の会長である金振杓(キムジンピョ)氏が、菅総理に年内の訪韓を打診し、日中韓首脳会談の開催を要請。演出その2だ。

 そして翌14日、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓3カ国の首脳がテレビ会議を開催。そこで文大統領は、

「尊敬する議長、各国の首脳の皆さま、特に日本の菅総理にお会いできてうれしい」

 と述べ、異例の「日本の総理名指し」で媚びてきたのだ。これまで、

「加害者である日本政府が(慰安婦問題は)『終わった』と言ってはならない」

「日本が歴史(徴用工)問題を経済問題に結び付けたことは全く賢明ではない。結局は日本経済に、より大きな被害が生じることを警告しておく」

 等々、「反日命」のスタンスを取ってきた彼が見せた、歯が浮くようなリップサービス。演出その3である。

 さらに同月23日には、韓国大統領府が、東京大学で東洋史学を学んだ知日派とされる姜昌一(カンチャンイル)氏を次期駐日大使に据える人事を内定。演出その4……。

 わずか2週間足らずの間に「日韓融和演出の4次元殺法」を繰り出してきた文政権。しかし逆に、ここまで気持ち悪いくらいに言い寄られると、誰もが違和感を覚えるはずだ。

 おかしい、あの反日の国が何の魂胆もなく親日に転じるわけがない。「スケベ心」があるに違いない、と。実際、以下に説明するように、日韓事情通の識者たちは、こぞって韓国側の「下心」を指摘するのだった。

「文政権が日韓関係改善を打ち出し始めた背景には、米国大統領選で民主党のバイデン氏が勝利を確実にしたことが大きく影響しています」

 と、まずは先の李教授が説明する。

「バイデン氏はこれまで、同盟国重視の姿勢を謳(うた)ってきました。中国と対峙する米国にとって、今まで以上に日米韓3カ国の協力体制の重要性は高まることになります。このような状況で日韓関係を放置していれば、韓国に対するバイデン氏の心証は悪くなるばかりです。そこで韓国は、一所懸命に日韓関係改善のために努力しているとの姿勢を見せることにより、韓国に有利な形で、米国に日韓の仲立ちをしてもらおうと計算しているのだと思います」

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