「辛坊治郎氏」独占告白 ヨットで太平洋横断に執念を燃やす理由、テレビ業界引退宣言

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様々なリスク

 21年4月の機会を逃すと、もう2度と挑戦できない──辛坊氏が判断した理由の1つが年齢の問題がある。来年の4月に65歳となる。体力を考えると、ラストチャンスだという。

「帆走の場合、日本近海で事故が起きる可能性が最も高いのです。日本列島は天候が不安定で、航行している船舶も非常に多い。前回の挑戦でも、クジラか鉄製コンテナに衝突するリスクがあると予測していました。後者は東日本大震災でコンテナが沖に流されたのに沈まず、海面付近を隠れるようにして浮かんでいるものです。皮肉なことに予想通り、日本近海でクジラに衝突して沈没してしまったんです」

 だが、いったん外洋に出てしまえば、リスクは大幅に低下する。辛坊氏のヨットにはウインドベーンという自動操舵装置が搭載されており、衝突の危険性を警告するレーダー監視システムも装備している。

「ヨットレースは、非常に苛酷なスポーツです。1時間の睡眠と1時間の操船を繰り返し、1分1秒でも早くゴールを目指す。私はそんなことに挑戦するわけではありません。レースではないので、太平洋横断はのんびりしています。風向きが安定していれば、睡眠も数時間は取れます。東日本大震災のガレキがアメリカの海岸に漂着したように、ヨットが沈没さえしなければ、いつかはアメリカに到着できるのです」

 外洋ではむしろ、ヨットから落ちてしまう「落水」と、健康問題のほうがリスクは高いという。

 65歳になる辛坊氏にすれば、いくら健康でも、心筋梗塞や脳卒中のリスクは無視できない。日本国内なら救急搬送されれば余裕で助かる軽い病状でも、太平洋のド真ん中なら死を意味するからだ。

引退の理由

 辛坊氏が太平洋横断に再挑戦する理由の1つに、前回の失敗がある。今でも「靴に入った小石のように」気になっているといい、リベンジを果たさなければ死んでも死にきれない。

 更に、自身がテレビ業界からの引退を決意していることも、大きな理由のようだ。

「私が働くのは、生活のためです。もともと、ジャーナリストに憧れてテレビ局に入社したわけではありません。たまたま縁があって、アナウンサーになっただけなんです。読売テレビの同期は全員退社し、第2の人生を歩んでいます。それを横目で見ながら、『業界に残りすぎた』と思ってきました。加えて、65歳から厚生年金が支給されます。私が日常生活で使うお金は微々たるものです。今後も働き続ける必要性を全く感じません」

「もう働きたくない」という想いに嘘も偽りもないが、「後輩にバトンを渡す時期が来た」という考えもあるという。

「新型コロナの影響で、私のレギュラー番組は今年に入って、テレビもラジオも歴代の最高視聴率と聴取率を記録しました。“ステイ・ホーム”の追い風があったとはいえ、これはキャリアハイでしょう。後は下っていくだけです。ならば私のような“老兵”が現場にしがみつくのはよくありません。幸いなことに番組は好評ですから、後輩も『やりたい』と手を挙げてくれるでしょう。太平洋横断に成功しても、番組に復帰することは考えていません」

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