アルモーメン・アブドーラが日本で見つけた飲食店 美味しいNIPPON

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 好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第68回は、アルモーメン・アブドーラさん。今回は「ダージリン 日暮里店」に伺いました!!

 エジプト・カイロ出身のアルモーメン・アブドーラさんは、言語学者。東海大学教授(日本語日本文学博士)として研鑽を積みながら、アラビア語通訳者として、数々の重要な現場に立ち会っている。天皇皇后両陛下(現・上皇上皇后両陛下)、パレスチナ自治政府のアッバス議長などの通訳を務めたといえば、その活躍ぶりもわかるというもの。

 世界中が注目する会談などで、首脳のかたわらにいて、最重要の任務にたずさわるキーマン。また、執筆とコメンテーターの活動など、華々しい経歴をお持ちなのに、来日歴25年のご本人は極めてフレンドリーなお人柄だからうれしい。紹介してくれたのは、東京・日暮里のインド料理屋「ダージリン」。

「ここ数年、谷中周辺の落ち着いた雰囲気が好きで、よく散歩するんです。このお店は、はじめて入ったときにあまりに強烈だったんですよ」

 そうアルモーメンさんが語る間に、2人の女性客が来店。オーナーが対応する。

「していません」と女性客。

「最高の席を用意しています」とオーナー――。

「これ、ぼくも最初に来たときやられましたよ。BGMのインド音楽やアラビアンナイトみたいな内装もいいですが、なによりオーナーが強烈ですよね(笑)」

 さて、この日はまず「チーズティッカ」を注文。ナチュラルチーズをインド式カッテージチーズでくるんで揚げた、お団子料理である。口に入れた途端、チーズの香りがやっぱり強烈だ。

 カレーは2種類で、ココナッツミルクベースの「チキンサヒ」と、ほうれん草ベースの「サーグコフタ」。ドーム型にパンパンに膨れあがった「チーズナン」とともにいただきます。ナンだけでもピザのようにおいしいので、うっかりするとカレーなしで平らげてしまいそう。カレーはどちらも甘く濃厚で、ナンとの相性も抜群。

 食後には、ティータイムを。名物オーナーが、何種類もの茶葉について、立て板に水の講釈を披露する。ああ、この店にはまちがいなく、日常とは別の時間が流れているようです。

週刊新潮 2020年12月10日号掲載

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