尖閣問題で“強硬発言”の王毅外相、根は「親日家」 過去に駐日大使、大学は日本語学科

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 正体不明の日本漁船が釣魚島に――。

 11月24日の日中外相による共同記者発表。茂木敏充外相の隣で、そう発言したのは中国の王毅国務委員兼外相(67)だ。尖閣諸島を自国領のごとくに言い放ったわけである。

 国益のためならどんな無理も押し通す、鉄面皮で酷薄な政治家とも映る王毅氏だが、さる外務省関係者は、

「彼は典型的な“ヒラメ”ですよ」

 と言う。

「王毅は習近平の意に添うように、習の一挙手一投足だけを気にしているような人物です。現在、習政権は米大統領選の混乱に乗じて周辺諸国を懐柔しようと強硬姿勢を封印しており、王毅発言も従来の立場を確認しただけで、それ以上の意味合いはないでしょう」

 自ら踏み込んだメッセージを発するタイプではないというのだが、その気質には出自の影響もあるとか。

「彼は北京の庶民の出です。文革で黒龍江省の農村に下放され、極寒の地で青春を過ごした。北京に戻った後、北京第二外国語学院を卒業しますが、普通、政治家の子息などが行くのは第一外国語学院。第二の方は“卒業しても旅行会社のガイドくらいにしかなれない”と言われている」(同)

 転機は大学時代に。

「周恩来の秘書の娘さんに一目惚れされ、後に結婚するんです。この縁で彼は外交部に潜り込むことに成功する。以降、コネと分をわきまえたふるまいで出世を勝ち取ってきた」(同)

 2004年、駐日大使に着任。政治部デスクいわく、

「大使時代は党中央の目を気にして、国営テレビ局・中央電視台のカメラの前では反日姿勢をとる。でも、中国のマスコミがいない場では和気藹々としていたのが印象的。ゴルフ好きで、いつも日本人から貰ったゴルフクラブを自慢していましたね。大学も日本語科で、根は親日家といわれる」

 共同記者発表の翌25日には、足取り軽く、都内ホテルの35階にある日本料理店を訪れた王毅氏。

「自民党の二階俊博幹事長らとの昼食会があったんです。王毅は前日の会見とは打って変わり、流暢な日本語で談笑しながら舌鼓を打っていたそう」(先の関係者)

 親日と反日。二面を使い分けるヒラメとは、これまた厄介……。

週刊新潮 2020年12月10日号掲載

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