「文在寅」大統領が、韓国メディアに見限られ始めた理由

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公約は破り放題で

 文在寅大統領の支持率が危うい。世論調査機関「韓国ギャラップ」が発表した文大統領の11月第4週の支持率は40%で、他の機関の調査結果も40~43%にとどまるなど、30%台への下落は時間の問題になってきた。

 大統領に就任した2017年5月には84%という驚くべき支持率だった文大統領。

 2018年2月の平昌冬季五輪と4月の南北首脳会談開催で支持率が頂点に達したが、いまや半分にも満たない。

 政策を推進しては失敗を重ねる文大統領の支持率が暴落しないことに驚くが、文大統領の支持率を押し上げるスピーカーの役割を担った韓国メディアが彼に背を向け始めているのだ。

 韓国を代表する保守メディアの朝鮮日報と中央日報、東亜日報を除く各メディアは文大統領支持または中立の論調だったが、「崔順実ゲート」事件を積極的に報道し、朴槿恵前大統領を弾劾に導いた世界日報や韓国日報、国民日報などまでが、文在寅政府と政権与党・共に民主党を批判する記事を吐き出すに至っている。

 文大統領支持を撤回した国民は、大統領の「無能」に怒るが、メディアは文大統領と世間の「ズレ」と「彼の嘘」に追及の矛先を向けている。

 11月30日付の中央日報は、文大統領が朴槿恵政府を「積弊勢力」、つまり、長い間積み重なった害悪だと卑下し、それとはまったく異なる国家を作ると公約したのに、しっかりと守られたことはなく、むしろ朴槿恵政府と比較して全く良くないと指摘した。

 朴槿恵政権時代、文氏は「彼女は世の中との対話を怠っている」と批判してきた。

 一方、2017年3月の民主党の大統領選挙出馬に向けた候補者の公開討論で文氏は、「大統領執務室を光化門に移転する」「退勤時に南大門市場に立ち寄って、市民たちと酒を飲んで意思疎通する大統領になる」と公約していた。

会見の少なさ、人事の独断専行

 光化門や南大門市場は日本人が頻繁に訪問する明洞駅に近い観光名所で、なかでも光化門広場は朴槿恵前大統領の退陣を求めた“ろうそく集会”が行われた場所でもある。

 文大統領が青瓦台(大統領府)を出て、光化門や南大門市場に現れたら、市民から罵声を浴び、卵を投げられることはほぼ間違いない。

 執務室移転や市場に立ち寄るか否かはともかく、「意思疎通する大統領になる」という発言を本気で信じ、肯定的に報道したメディアは、裏切られたと感じている。

 2017年2月の公開討論でも、「国民が“文在寅退陣”を要求したら、どうするか」という質問を受けた文氏。その際にも同様に「国民が(私に)退けと言うことはないだろうが、光化門広場に出て市民たちを説得するよう努力する」と答えていた。

 大統領就任後、光化門広場で数多くの“文在寅退陣"を要求する集会が行われたが、文大統領は会話や説得どころか、一度も顔を出したことすらない。

 むしろ、今年10月初旬の祝日、文大統領は、“反文在寅集会”が予定されていた光化門広場に、新型コロナウイルス拡散の懸念を口実に、警察のバス300台を投入して広場を封鎖した。

 これは、李明博元大統領がかつて、政権を非難する集会への人の出入りを遮断するため頻繁に使用した方法で“明博山城”と呼ばれた。

 その李元大統領を刑務所に入れるために心血を注いだ文大統領は、これを真似して“在寅山城”を作ったことになる。

 加えて、李明博元大統領は就任後3年9ヵ月の間に公式記者会見を20回行ったが、文大統領は就任以来3年6ヵ月で6回しか行っていない。

 文大統領はまた、自分が任命した人物が国会議員の聴聞会で不適格とされた報告書を無視して人事を強行した例が23回あった。

 朴元大統領が聴聞会で「適格」と報告されなかった人事を強行したのは10回である。

 独断専行、ここに極まれりと言うべきだろう。

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