浮気した妻が「DVをでっちあげ」 子供を奪われた男性が語る「日本のおかしな現実」

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妻の“不貞”から夫婦仲は壊れ始めた

 話を戻そう。

 東京で新たな生活をスタートさせたスコット一家だったが、生活は一変した。収入が下がってしまったスコットに代わって、妻が正社員として外に働きに出ることになった。

「私は日本を拠点として、アジアのサッカー記事を海外メディアに寄稿するようになりました。ほかにもグアムの代表チームの広報兼マネージャーの仕事も得て、日本とグアムを行き来するようになりましたが、テレビ局に勤務していた頃に比べたら、満足な稼ぎがなかったのは事実です」

 代わりに、家事や子育てはスコットが担当することになったが、

「子供たちが大好きだったから、まったく苦ではなかった。日本に来たのも、彼らと離れ離れになりたくなかったからです。食事、塾や水泳の送り迎え、宿題、なんでもやりました。長女の自転車の練習も乗れるようになるまで毎日。一方、妻は毎晩遅くまで働き、お酒を飲んで帰ってくることも多くなった」

 そんな中、彼は夫婦仲を決定づける、妻の「秘密」を知ってしまったというのだ。

「妻は私の知らないところで、他の外国人男性と密会していたのです。証拠をつきつけると、妻は素直に認め、謝罪しました。そして、離婚したいと言ってきました。私は必死に反対した。離婚後も共同親権となるオーストラリアと違って、単独親権制度の日本では離婚すると子供たちと会えなくなるリスクがあることを知っていたからです」

 話し合いの結果、半年間、冷却期間として別居生活を送ることになった。妻が近くに住む義父母の家に移り、週の半分ずつ子供が行き来することになった。

「結局、半年後、子供たちのことを考え、再び同居することになりました。ただ、もう妻とは元通りになることはありませんでした。事務連絡以外、ほとんど会話をしなくなくなった。そんな矢先に『連れ去り』が起きたのです」

「妻は連れ去りのチャンスを伺っていた」

 忘れもしない19年5月15日の夕刻。妻は仕事で家に不在だった。スコットが居間で仕事をしていると、娘がびしょ濡れのまま風呂から出てきた。

「私は『ちゃんと体を拭きなさい』と彼女を叱りました。しかし、彼女は『嫌だ』と言って逃げる。仕方ないので、私は彼女を掴んでクローゼットまで連れて行ったのです。そのとき、床が濡れていたので娘は転び、クローゼットの扉に背中を打ってしまった。娘は泣いて大騒ぎし、パジャマに着替えた後、弟を連れて義父母の家に行ってしまいました」

 その後、妻に事情を説明するメールを送ると、『おじいちゃんのところに行っているから大丈夫』と返事があった。だが、翌日、翌々日になっても、子供たちは一向に帰ってこない。4日後、妻を呼び出し、近所のカフェで会うことになった。すると、妻は向き合うなり、

「いきなり離婚届を目の前に出し、『あなたは娘に暴力を振るいましたね。背中にあざが残っています』と言ってきたのです」

 慌てて事の次第を改めて丁寧に説明したが、妻は話を聞こうとせず、

「『子供が学校に報告し、学校が二人をシェルターに避難させた。場所は教えられない』と。そして、離婚届にサインするよう迫ってきたのです。私が拒むと、『弁護士から連絡が行きます』と言い残し、店を出ていきました。後で自宅の共用パソコンを調べると、彼女が5月9日に、弁護士に離婚相談のメールを送っていたことがわかりました。彼女は連れ去りを決行するため、タイミングを図り、DVをでっちあげたのです」

 スコットは、その日のうちに最寄りの高井戸警察署に駆け込んだ。

「最初、警察は親身に私の話を聞いてくれました。その場で妻に電話もしてくれた。ただ、何度かけても妻は電話に出ません。児童相談所に行ったらどうかともアドバイスされたので行ってみましたが、何の情報も得られない。週明けに学校に行くと、学校がシェルターに連れて行った、という妻の話が嘘だとわかった。警察に戻り、『一緒に学校に来て欲しい』と頼みましたが、『家庭の問題には立ち入れない』と断られました」

たった1枚の写真でDV加害者になってしまった

 翌日、再び警察に行くと、警察官の態度が一変していたという。

「ようやく警察は妻と連絡が取れたのですが、妻は彼らに、悪いのは暴力を振るった私だと訴えていたのです。彼らはその話を信じ、非協力的になってしまった。ほぼ同時に、学校の態度も変わりました。その後、何度、警察や学校に行っても、相手にされなくなった。二人は転校してしまったようでした。どこに行ったのか調べようと思って、杉並区役所で住民票や学齢簿を取得しようとしても、黒塗りで出てくるのです。私は父親だというのに、子供がどこにいるか教えてくれないのです」

 妻がDV被害を申告したため、役所は閲覧制限をかけたのだ。スコットは力説する。

「私は妻も含めて子供たちに暴力を振るったことなど一度もありません。むしろ、結婚する際、私が妻に『子供に絶対に手を上げないで』と約束させたくらいです。もちろん、オーストラリアでもDVは深刻な社会問題です。でも、だからこそきちんと捜査します。けれど日本の警察や役所は、私を調べもしないまま、DV加害者にしているのです。オーストラリアならまったく逆で、警察は妻を逮捕し、子供たちを戻してくれたでしょう。親権者である私の同意なく、連れ去ることは誘拐であり、犯罪だからです」

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