残念すぎるパナマ戦 風間八宏氏の指摘に集約される格下相手に苦戦の理由

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“敵”の意識が希薄?

 11月13日、10月に続きヨーロッパ・オーストリアでの国際親善試合に臨んだ日本代表は、南野拓実(25)[リバプール]のPKによる1点を守り切ってパナマを下した。

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 新型コロナの影響で、ヨーロッパでプレーする選手だけによる親善試合の通算成績は2勝1分けとなり無失点を続けているものの、攻守に欲求不満の募る試合でもあった。

「ヨーロッパでプレーしているからといって、代表のレギュラーが約束されているわけではない」とは海外組の選手がよく口にする言葉だ。

 この言葉をパナマ戦の前半に当てはめるなら、GK権田修一(31)[ポルティモネンセ]と吉田麻也(32)[サンプドリア]らDF陣以外は総入れ替えしたいくらい、酷い出来だった。

 森保一監督(52)は試合前日の会見で、チームとしての全体練習が11日と12日の2回しかできないことをあげていたが、それはパナマも大差ない。

「慣れない3BKを採用したから」とか、板倉滉(23)[FCフローニンゲン]、三好康児(23)[アントワープ]ら代表歴の浅い選手を起用したため息が合わなかったといった言い訳も通用しない。

 なぜなら、日本はW杯に6回連続出場しているのに対し、パナマは18年ロシアW杯が初出場と実績が違う。

 選手個々を見ても、ヨーロッパの1部リーグでプレーしているのは、パナマだとDFアンドレス・アンドラーデ(22)[リンツ]とDFミチャエル・アミル・ムリージョ(24)[アンデルレヒト]の2人くらい。

 対する日本は、マルセイユ、サンプドリア、リバプール、ビジャレアル、フランクフルトと欧州4大リーグのビッグクラブがずらりと並ぶ。

敵を見ない日本代表

 チームとしての底上げを図っていようがいまいが、試合になればそれなりに「格の違い」を見せつけなければならないし、それくらいのプライドを選手には見せて欲しかった。

 では、なぜ前半は苦戦したのか。一言でいうなら、マイボールになっても(なりそうでも)動き出しが遅いか、そもそもないため、攻撃をビルドアップできなかった。

 本来なら相手より先に動き出してパスコースを作り、さらにその動きに連動して第3の動き(できれば逆サイド)で選択肢を増やし、厚みのある攻撃を仕掛ける。ところが前半の日本は頭も体も動いていなかった。

 このため植田直通(26)[セルクル・ブルージュ]はロングパスを選択せざるを得なくなり、7分には南野がフリーで抜け出すチャンスもつかんだが、前半はこのシーンと31分に三好がオフサイドになった場面くらいしか見せ場はなかった。

 この試合で興味深いのは、フジテレビで解説者を務めた風間八宏氏が、前半の日本の拙攻について「味方ばかり見て、敵を見ていないのでスペースを見つけられない」と話し、「相手のどこを見て攻めるのか。日本はパスコースが1つしかない」と指摘した点だ。
 

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