文大統領、「外交の無能ぶり」を自ら証明した「菅-文在寅宣言」のヒドい中身

国際 韓国・北朝鮮

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来年度予算に「国民の血税800億円弱」を北朝鮮支援で盛り込む

 民間企業が拒否する賠償をもし政府が強制すれば、財産権侵害に相当する。

 文在寅大統領が恋い焦がれる金正恩政権ならまだしも、民主主義国家の日本ではありえない行為である。

 百歩譲って、もし日本が「菅-文在寅宣言」の提案を受け入れるなら、借款が前提であることを考えておかないといけない。

 韓国財政部の10日の発表によると、今年9月時点の韓国の国家債務は約800兆ウォン(約75兆8056億円)で、財政赤字は約108兆ウォン(約10兆2337億円)に達していた。

 他国から財政支援が受けられるなら、願ったり叶ったりという水準だ。

 このような状況にもかかわらず、韓国政府は来年度予算に北朝鮮支援を盛り込んだ。

 コメを提供する目的で約1007億6300万ウォン(約95億4800万円)、北朝鮮民生協力支援約3484億4400万ウォン(約330億1753万円)など、対北朝鮮支援機関に約8276億ウォン(約784億2096万円)を拠出する予算編成を行った。

 文在寅大統領を「ゆでた牛の頭も天を仰いで大笑いする」だと嘲弄し、韓国人の税金300億(約28億3302万円)を投資して作った南北連絡事務所を勝手に爆破、核兵器開発と大陸間弾道ミサイルの発射を強行、さらには漂流した韓国人公務員を銃殺するなど、敵国のみが行う蛮行を犯した国に、韓国政府は国民の血税800億円弱を支援するというのだ。

韓国への借款が北に流れかねない事態に

 もし「菅-文在寅宣言」とともに韓国に対する借款などの経済支援が実行されたら、その金銭が金正恩氏の腹を膨らませる8276億ウォンに流れないと言い切れるだろうか。

 文在寅大統領は「菅-文在寅宣言」という外交的な礼節を失した構想を立て、国家情報院長は「売れないもの」を相手国の首相に提案したことになる。

 一般会社のオーナーなら、経営能力不足で社員から突き上げを食らって離反を招くことだろう。

 李明博元大統領や朴槿恵前大統領の時代にも日韓両国の葛藤はあったが、ここまで深刻な状況に陥ることはなかった。

 前政権時代には想像すらできなかった“NO JAPAN”や“不買運動”を扇動し、その効果が弱まると、自国中心の利己的な発想に過ぎない提案をひねり出した文大統領。

 徴用工に関して「容易ではない」状況を作り出したのは誰なのか。問うべきは自分の胸だろう。

田裕哲(チョン・ユチョル)
日韓関係、韓国政治担当ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年11月16日掲載

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