「韓国メディア」が4年連続で「信頼度最下位」となった理由

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韓国メディアは日本のシステムを踏襲したが

 英オックスフォード大学付属ロイター・ジャーナリズム研究所は、毎年40余カ国を対象にアンケート調査を行い、世界のジャーナリズム動向を分析する報告書を出版している。同報告書は、対象国のメディア信頼度を項目別に採点して総合順位を決めるが、韓国は今年の調査対象国40カ国のうち40位(最下位)となった。韓国が参加した2007年以降、4年連続で信頼度最下位を記録している。参考までに、日本は21位にランクインしている。

 韓国初のメディアは、1883年10月に創刊した漢城旬報と言われている。現在と違い、当時の韓国のメディアは中国や日本のコンテンツを輸入して翻訳するレベルだった。

 その後、1896年に創刊された独立新聞は初めて広告を掲載した新聞であり、毎日新聞と皇城新聞は、開化思想と自主独立を掲げた新聞だった。

 日韓併合以降は総督府の機関紙を除く全ての民間新聞が廃刊となり、1920年に朝鮮日報、東亜日報、時事新聞が創刊し、近代化したメディアが登場する。

 しかしながら、当時の韓国はメディアへの理解不足の上に、システムも皆無だったため、日本のシステムをそのまま踏襲した。

 メディアのシステムは、昔も今も大きく変わらない。

 取材を担当する記者がいて、この内容を文章と写真に編集して印刷、あるいはネットに掲載するやり方だ。

 単にニュースを伝えるだけでなく、メディアは社会的に責任感と使命感、専門性を持たなければならない。世相を反映するが偏ってはならず、正確な情報を読者に伝えなければならない。当然のことだ。

速報競争に巻き込まれる韓国メディア

 システムこそ似ているが、日本と韓国のメディアは方向性がかなり違う。

 正確を期するために事実確認を細かく行い、関連資料を集める日本のやり方は昔も今も変わっていない。各分野の専門記者には、韓国の記者が追いつけないほどのレベルだ。

 韓国のメディアはこれまで、政権の旗振り役や、企業に寄生する形で発展してきた。

 同じ内容が一度に数十から数百件も出る韓国メディアの記事から、文責や専門性はうかがえない。

 ネットメディアが増えるにつれ、いわゆる速報競争が始まり、事実に関係なく、誰が先に記事を出すかに重点が置かれるようになっている。

 1960年代、朴正熙(パク・チョンヒ)以降の軍事独裁体制では、正確な情報を伝えるよりも政権の顔色をうかがいながらメディアは成長してきた。

 全斗煥(チョン・ドゥファン)政権時代には、マスコミ統廃合が施行され、政権の基準に合致しないメディアは強制廃業させられるか、他のメディアに吸収された。

 韓国メディアの最も大きな変化は2005年頃だ。この時期にネットメディアが登場し、速報と事実が確認されていない記事、広告集中的な市場に変化する。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権誕生に大きな役割を果たしたオーマイニュースやプレシアンは、この頃に登場したメディアだ。

 ネットを基盤とする進歩的メディアは、既存のメディアを批判しつつも同じ悪習をそのまま踏襲し、さらに悪いことに市民記者という、記者としての資質が検証されていない人々の記事を掲載して問題を起こした。

 オーマイニュースが誇る市民記者は全国に8万人存在し、大企業の社員並みの数だ。

 しかしながら、職業的検証や専門性、記者としての教育には誰も関与しない。

 要するに事実よりも、誰がより刺激的な記事を作成し早くアップするかが重要視され、そのため世論形成の手段として政権に利用されもした。

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