旧帝大で国家プロジェクトに入り込む「中国人研究者」たち 日本の技術が中国で軍事転用も

国際 中国 2020年11月15日

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日本の叡智が中国の軍事研究を推進

 憂うべきは、多くの中国人を抱える東大に、「国防七校」に絡む留学生らが在籍していることだ。「国防七校」とは、中国人民解放軍との繋がりが深く、ミサイルや戦闘機など軍事兵器の研究開発に力を入れている大学だ。ちなみに、経産省は大量破壊兵器などの開発への関与が懸念される海外の研究機関を「外国ユーザーリスト」として公表。「国防七校」では、北京航空航天大学と哈爾濱(ハルビン)工業大学が掲載されている。なお本誌ではこれまで、「千人計画」でこれらの大学に招聘された日本人学者の証言も紹介してきた。

 ざっと東大の理工系研究室のホームページを確認しただけでも、北京航空航天大のロボット研究所や飛行機設計学科、また哈爾濱工業大の出身者が所属していることが見てとれる。東大以外の旧帝大でも、JAXAの公募プロジェクトで航空機に関わる研究を行う教授は、北京航空航天大の出身者を受け入れていた。

 さらに北京航空航天大や哈爾濱工業大などの教授の経歴も辿ってみれば、幾人もが、東大や京大、東工大などへと留学していた旨を、誇らしげにウェブ上で公表してもいるのだ。

 その最たる人物として挙げられるのが、2016年に中国共産党創立95周年大会で、習近平国家主席から「中国の航空事業に多大な貢献をした」として表彰された北京航空航天大の宮声凱教授(64)だろう。

 彼は1988年に東工大で博士号を取得。世界に先んじて大型戦闘機に転用できるエンジン技術を完成させたとされるが、所属する北京航空航天大のウェブサイトでは、こう紹介されている。

〈80年代初頭から宮声凱は日本に公費留学し、94年に帰国後は北京航空航天大の材料科学・工程学院院長に就任した。帰国した頃の心境について、宮教授は語った。「科学に国境はないと言いますが、しかし私は思うのです。科学者には祖国があり、中国人は自分の国のために貢献すべきだと」。国家的な課題に直面すると、一人の優秀な共産党員として、宮声凱は一度も諦めることはなかった〉

〈「我々は宮先生というリーダーの下、祖国の航空事業の発展のため、国家戦略に応じて、国防に奉仕し続ける」。これは宮声凱、またはその他の研究員の心の声であり、北京航空航天大学の研究者の真実の姿を映している〉

 日本の血税により磨かれた叡智が、中国の軍事研究を前進させていたのだ。

週刊新潮 2020年11月12日号掲載

特集「日本の科学技術を盗む『中国千人計画』最終回」より

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