タクシー、マスク着用応じぬ客はお断り、ホリエモンは反対、現役運転手の本音は?

国内 社会 2020年11月12日掲載

  • ブックマーク

 都内の大手タクシー会社や個人タクシーなど10の事業者が、新型コロナの感染を防ぐために、マスク未着用の客に対して乗車を拒否できるように運送約款の変更を国土交通省に申請し認可された。ところが、餃子店でマスク着用問題で炎上したホリエモンこと堀江貴文氏が、タクシー事業者のこの動きにいち早く反対を主張したのだ。

 ***

 道路運送法では、泥酔したり、暴力をふるったりする客を除き、タクシーは乗車拒否をしてはならないことが定められている。そのため、マスク未着用の客を乗車拒否できるようにするには、事業者ごとの運送約款の変更をする必要がある。今回、国交省が約款の変更を認めたため、こうした動きは全国に広まる可能性があるという。

 これに対し、ホリエモンは、多くのタクシーは運転席と後部座席の間にアクリル板などを設置し、窓を開けるなど感染対策を十分行っているので、「過剰な対策」として批判しているのだ。

「弊社は、8月31日に運送約款変更の申請をしました」

 とは、日の丸交通の広報担当者。

 日の丸交通は現在、675台のタクシーを保有。1650人の運転手がいるという。

マスク未着用は19%

「9月にマスクをつけていない乗客はどのくらいいるのか、4営業所で3日間、ドライブレコーダーの映像をチェックしました。2843人の乗客のうち、マスクをつけていたのは81%の2305人という結果でした。女性が化粧などのためマスクを外す場合やアゴに掛けてマスクを正しく着用していない場合も含め、19%にあたる538人がマスク未着用でした」(同)

 日の丸交通が約款変更の申請をしたのは、ドライバーから、「乗客がマスクをつけずに大声で喋っている」「妻が妊娠しているので心配」という訴えがあったからだという。

「約款変更は、ドライバーの安全だけでなく、次に乗車する乗客のためでもあります。マスクを着用せず、咳き込む乗客がいた場合、降車後、後部席周辺を消毒することになっています。ところが、すぐに次の乗客が乗った場合、消毒している時間がありません。タクシーは、ある意味密室ですので、何人も乗客が乗り込めば、クラスターが発生しかねません。そういう観点からも、マスクの着用を求めているのです」(同)

 もっとも、日の丸交通では、むげに乗車拒否するわけではないという。

「マスクをしていない乗客には、きちんとマスクをしていない理由を伺い、たとえばマスクアレルギーなど正当な理由がある場合は、乗車拒否はいたしません。また、マスクをお持ちでない乗客のためにマスクを常備することも検討しています」(同)

 だが、実際乗車を拒否すると、怒り出すお客もいるような……。

「マスクをしていないからといって、乗客に『降りてください』とはさすがに言えませんよ。長距離のお客さんだったら尚更でしょう」

 と語るのは、都内の現役タクシードライバー(61)。

「ほとんどのタクシーは、運転席と後部座席の間をアクリルなどで仕切っていますし、窓を開け換気もしています。消毒液も備えています。また、支払いもクレジットやスイカ、クイックペイなどキャッシュレスが多くなってきて、操作も乗客が行います。現金払いは2、3割程度ですからね、私の場合、乗客がマスクをしていなくても、売上のために乗せますね」

 新型コロナの感染拡大のため、緊急事態宣言が出た際、売上はコロナ前の10分の1以下になったという。

「この2カ月間で夜間も人が出るようになりました。それでも売上はコロナ前の5割程度です。マスク未着用だからといって、いちいち乗車拒否していたら食べていけませんよ」

次ページ:乗客に逆らえない

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]