「2日に1食」「トイレは近くの公園で」 コロナ禍でシングルマザー、女子高生の命が危ない

国内 社会 週刊新潮 2020年11月5日号掲載

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女性自殺者が急増

 日本の新型コロナによる死亡者数は低水準を維持している。一方で新たなリスクとなっているのが自殺者の急増だ。なかでもシングルマザー、女子高生など、女性が危機に直面しているという――。

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 警察庁と厚生労働省が集計した自殺者数の速報値によれば、緊急事態宣言が発令された4月は1493人で前年同月比マイナス321人。翌5月もマイナス284人となっている。共に昨年より15%以上少ない数字だ。

 だが、夏になると事態は一変し、増加傾向に。8月の自殺者数は1854人にのぼり、前年同月比で15・7%も増えてしまった。

 深刻なのは“女性”の急増だ。8月に自ら命を絶った女性は651人を数え、前年同月と比べて、実に40・3%も増加している。

 その背景には逼迫する女性の雇用環境がある。人事ジャーナリストの溝上憲文氏が語るには、

「新型コロナによって観光業や接客業、飲食業といったサービス業に従事する女性たちが甚大な影響を被っています。問題は、コロナ禍が収束しても雇用状況が改善しそうにないことです。外食産業は大規模な店舗閉鎖に踏み切り、24時間営業をやめて機械化と効率化を推し進めています。そうなると、ますます仕事にあぶれる人たちが増えることになる。派遣切りされて収入が途絶え、ハローワークに通っても仕事が見つからない。その結果、生活が困窮したシングルマザーが自殺衝動に駆られてしまう。そんな最悪の連鎖に陥ることを危惧しています」

「2日に1食」「トイレは近くの公園で」

 そうした懸念はすでに現実のものとなりつつある。

 NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長が言う。

「シングルマザー世帯では、派遣切りで仕事と収入を失っただけでなく、休校措置で給食がなくなり、その分の食費も家計を圧迫しています。3月に約1200世帯に宛ててお米を送ったところ、“お母さん、今日は雑炊じゃないお米が食べられるね、と子どもが喜んでいます”というお礼の言葉が寄せられました。さすがに驚きました。10月現在までに2135世帯へ食品支援を行っています。その後も状況は悪化し続けているのに、ニュース番組では“リモートワークで働き方改革が促進”、“Go Toキャンペーンが活況”といった能天気な報道ばかり。手当が上乗せされ少し息をつきましたが、もっと支援が必要です」

 赤石氏のもとには日々、シングルマザーの悲痛な叫びが届く。そのなかには、〈仕事は週1~2日だけ。子どもには1日2食で我慢してもらい、私は2日に1食が当たり前になっています〉〈暖房は一部屋しか使えません。水道代がもったいないのでトイレも近くの公園で済ませます〉など、耳を疑うような内容も多く含まれる。赤石氏が続ける。

「子どもがリモート授業を受けようにもスマホやパソコンがない家庭もあります。パソコンを持っていても型が古くてZoomに対応できず、かといって買い替えるお金もない。そんな状況下でシングルマザーは孤立感を深めているのです。女性の自殺者増加とも無関係ではなく、“生活に疲れて気づけば自殺サイトばかり見ています”という声も聞きます。助けを求める問い合わせは4月から1200件ほどを数え、いまだに収まる気配はありません。世の中から隔絶された、静かな野戦病院にいるような感覚です」

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