「乃木坂46」絶対的エース「白石麻衣」 アイドルの9年間とコロナ禍の「卒業」

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「何かが足りない」「余韻が少ない」理由とは

 ここで少し余談を挟ませて頂きます。

 かつて古舘伊知郎さんがアントニオ猪木さんの引退試合で「我々はアントニオ猪木から卒業しなければいけません」と仰いました。

「まさにあの時の古舘さんのあの言葉。そうなんだ、我々ファンも“乃木坂46の白石麻衣”から卒業しなければいけないんだ」なんてコンサート終了後に1人ボーッとしている時に思った次第であります……。

 話を戻しまして、前述したとおりとても明るく楽しい卒業コンサートではありました。

 しかし、「何かが足りない」「余韻が少ない」と思ったのはわたしだけでしょうか? 

 新型コロナ禍に於いてこんなことを言っても仕方がないのは承知の上なんですが、やはり乃木坂46最高の功労者である白石麻衣さんですから、メンバー・スタッフ・ファンの三位一体で送り出してあげたかったというのが正直な気持ちです。

 高揚感や感動そして感傷に浸る部分に於いても、リアルなライブと配信コンサートではやはり味わいが違ったのではないでしょうか? 

 これはコンサート終了後に特に強く感じてしまいました。

 大勢の人の中でああでもないこうでもないと話しながら、“乃木坂46の白石麻衣”を失った虚無感にも浸りたかった……。

 メンバーの皆さんもスタッフの皆さんも無観客の会場で最大限のことをしてくださったことは、画面越しに痛いほど伝わってきましたが、この感情は拭うことの出来ないものであると思い、記させて頂きました。

仕事に打ち込む姿が、人間臭くてかっこよかった

 最後に、人間誰しも生きていれば様々な景色を見、感じるものです。私にとって秋元康さんが描く歌詞の世界観(特に乃木坂46の)というのが、その育ってきた景色や匂いを思い出させてくれる一種の装置のようなものでした。

 その景色や匂いをしっかりと表現してくださったのは白石麻衣さんをおいて他なりません、感謝であります。

 そして彼女を見てきて感じたこと。劣等感なんてなさそうな容姿であるにもかかわらず、なにかそういったものと闘い、払拭するように仕事に打ち込む姿が、人間臭くてかっこよかったですね。

 グループの長として、また見られる立場の人間として本当に一生懸命メンバーに対してもファンに対しても尽くしてくださり、アイドルに殉じた9年間。

 これからは1人の女性“白石麻衣”として自身が望まれる幸せを掴んで欲しいですね。

 我々応援してきたファンはそれを応援するのが務めでありますし、まいやんへの恩返しであると思います。

 追伸 「さよなら」と「ありがとう」。この言葉を記して締めとさせて頂きます。

徳光正行
1971年12月生まれ。茅ヶ崎市出身。日本大学芸術学部在学中よりミュージシャンを目指すが、父の病により断念。その後、司会業やタレント業に従事する。また執筆活動にも着手し『伝説になった男~三沢光晴という人~』『怪談手帖シリーズ』などを上梓。4月27日には岩井志麻子氏との共著『凶鳴怪談』を出版。現在YouTube「徳光ちゃんねる」でも活躍中。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年11月2日掲載

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