松本まりかが20年の「下積み時代」を語る 「地面を這いつくばってきた」

エンタメ 週刊新潮 2020年10月29日号掲載

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 テレビやネットで姿を見かけない日がないほどの人気ぶり。女優の松本まりか(36)は、ソフトバンクのCMで“白戸家のお父さん犬”と共演。今月末からドラマ「先生を消す方程式」(テレビ朝日系)の放送が始まるほか、12月には写真集『MM』(マガジンハウス)も発売される。デビューから20年の節目にブレイクを果たしたご本人が、自身の歩みを語ってくれた。

「いまでも“こんなにお仕事を頂けるんだ”と、自分でも驚いているところなんです。各局の制作担当者の方々が私の存在を知って、“お会いしたかった”“一緒に仕事をしたい”と言って下さる。私に興味を持ってくれる人がいることを、心からありがたいと思うと同時に、なんて幸せなことなんだろうって」

 きっかけは2018年放送のドラマ「ホリデイラブ」(テレ朝系)。単身赴任中の妻子ある男性と不倫する主婦の役を演じるや、視聴者を震え上がらせる鬼気迫る演技と独特の存在感が話題に。かくして「憑依型女優」との異名をとったが、

「自分がそういう女優なのかは分かりませんが、私の演技をそんなふうに面白がってくれるなんて、素直に嬉しく思っています」

 14歳でスカウトされ、16歳の時にNHKドラマ「六番目の小夜子」で女優デビュー。作品は5回も再放送されるなど好評を博したものの、以降は主に単発でのオファーが続いた。

「点と点とを結ぶような毎日に、いつしか何でもネガティブな方向に考えるようになってしまって……」

 と、しみじみ回想する。

自分にストップ

「例えば、友だちとどこかに遊びに出かけても“女優として半人前なのに、こんなふうに遊んでいていいのか”と心から楽しめない。また、“こんな役を演じてみたいな”と想像すると、すぐに“現実離れし過ぎ”“おこがましい”と思ってしまう。さまざまな場面で自分にストップをかけていましたね」

 いまでこそ「凄まじい勢いで見える風景が変わってきた」そうだが、

「この20年は地面を這いつくばってきた感覚で、とにかく苦しいものでした。ただ、自分でも不思議なことに辞めようと思ったことはないんです。“このまま40代を迎えたら私はどうするんだろう”と弱気になることはありましたが、なるべくそこには目を向けないようにして……」

 続けて、こう語る。

「いずれ転機はやって来ると信じて、その機会に恵まれた時は絶対に後悔しないように準備をしておこうと決めていました。演技だけでなく、人間的な魅力を磨くために本を読んだり、映画を見たり。常に備えておくという意識が、日常生活のモチベーションでした」

 それは自身を律する“覚悟”でもあったという。

「そういう自分の心に従ったことが、いまにつながっていると思うんです。単に運が良かったのかもしれませんが、それでも私は、あのドラマ(ホリデイラブ)に出演する機会を得られた。大きな自信になり、私を支える礎(いしずえ)にもなっています」

 ナレーターや声優としても活躍中だが、

「人間のリアルを垣間見れるドキュメンタリー番組が好き。ナレーションは難しいですが、やりがいを感じます。声優としては、19歳から10年ほどアニメ『蒼穹のファフナー』の主要なキャラを演じました。声のみで演じる経験もドラマなどの演技に生きていますね」

 多忙を極めるようになり、しばらく趣味の旅行や温泉巡りはおあずけという。

「いまは私という“器”を成長させる時期。しんどい時もありますが、自分の成長を肌で感じながら、やりたいと思うことに臆することなく挑戦していきたい」

 今後は演じる役柄をますます広げるか。