中国雑貨「メイソウ」が米上場 9割が中国製でも“日本ブランド”を売りにする商魂

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 10月15日、中国の雑化店大手・名創優品(メイソウ)が米ニューヨーク証券取引所に上場した。日本ブランドを謳って急成長した企業で、ユニクロとダイソー、無印良品を足して3で割ったなんて揶揄されたものだが、いつの間にかスーパーブランドに成長していたのだ。

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 実際、メイソウのロゴを見ると、赤地に白の文字で、ユニクロを彷彿とさせる。そして店内は、無印良品のような品ぞろえ。そして中国での価格はダイソー並み……。

 創業は2013年9月で、広州市に1号店を開店した。当初、メイソウの店内には、「100%日本品質・日本品牌(日本ブランド)」や「日本輸入」という張り紙があった。それを証明するため、商品のパッケージには、日本語の説明文が記載されていたものの、日本語としておかしなものだったという。

 たとえば、台所用品のスポンジには、こんな説明が記されている。

《台所をきれいにして、生活はさらに美しくならせる。》

《水吸収能力と汚れ取り除き能力が強くて》

 これで100%日本品質とは、よく言ったものだ。さらに、商品のタグには、本社所在地として、東京都渋谷区神社前という記載があった。明らかに神宮前の間違いである。

日中のネットユーザーから批判が殺到

 公式ウェブサイトにも、誤った日本語の記載があったため、日中のネットユーザーから批判が殺到。日本に店舗がないことも指摘されたため、2014年以降、池袋店、高田馬場店、原宿店、渋谷店、川越店と相次いで開店した。さらに、千葉県のイオンモール幕張新都心店、イオンモール津田沼店、福島県のイオンモールいわき小名浜店、宮城県のイオンモール名取店にも出店していた。

 ところが現在、日本の店舗で残っているのは高田馬場店とイオンモールの店舗だけという。他は全て閉店しているのだ。そこで、日本旗艦店となっている高田馬場店に行ってみた。

 JR高田馬場駅から徒歩6分。早稲田通り沿いにあるお店は、旗艦店というのに規模は小さい。以前はコンビニだった店舗を改装したという。そのため品揃えも少なく、女子中高生向けのぬいぐるみや化粧品、アクセサリーなどをメインに並べている。中高年の男性は入りにくい雰囲気がある。客は女子中高生を中心に、20人ほどだった。

 商品はと言えば、透明ビニール傘が400円、ヘッドホンが2600円。ポータブルスピーカーが2000円。水色の不織布マスクは50枚入りが1980円で、2個買えば3000円。決して安いとは言えない。正直言って、日本ブランドを謳うためのアリバイとして、出店したような感じである。

「メイソウは、日本人デザイナーの三宅順也氏が立ち上げたという恰好でスタートしました。日本ブランドを売りにしたのです」

 と解説するのは、中国事情に詳しいジャーナリストの高口康太氏。

「しかし、商品のほとんどは中国製です。実際は、日本の100円ショップと同じような格安ショップとして、中国で展開しました。日本の100円ショップは、中国からもかなり仕入れていますからね。中国にはノウハウがあるのです」

 メイソウは、世界の約1000社のサプライヤーから商品を仕入れているが、9割近くが中国の珠江デルタ地区と長江デルタ地区に集中している。

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