「ラミレス監督」は今季限りか DeNAの次期監督候補にあがる7人の名

スポーツ 野球

  • ブックマーク

Advertisement

 残り試合数も30を切り、終盤戦に入ってきたプロ野球のペナントレース。セ・リーグは巨人の優勝、パ・リーグはソフトバンクとロッテのクライマックス・シリーズの進出が濃厚ということもあり、徐々に来季に向けての話題も増えてきている。そんな中でいち早くニュースとなったのがDeNAの監督人事だ。

 一部報道によると、5年間指揮を執ったラミレス監督が退任し、新監督を迎えることが決定的となったと報じられたのだ。この報道を受けて、DeNAの三原一晃球団代表は監督人事については白紙とコメントしているが、監督契約は今季限りであり、シーズン前から優勝しなければ、退任というもっぱらの噂だっただけに、来季は新監督を迎える可能性は極めて高いと言えるだろう。そこで今回はDeNAの次期監督候補について考えてみたい。

 第一候補と見られているのが昨年は一軍投手コーチを務め、今シーズンから二軍監督に就任した三浦大輔だ。ドラフト6位での入団ながら早くから一軍の戦力となり、大洋、横浜、DeNAと球団名が変わる中25年間チーム一筋でプレーし続けた、チームにとっては正真正銘の“レジェンド”だ。

 1998年にチームがリーグ優勝、日本一を果たした時の主力メンバーは多くが球団を去ったが、最後まで残り続けたことでファンからの人気は圧倒的なものがある。また、チームの看板選手からいきなり監督になるのではなく、引退した後の2年間は解説者として一度チームの外から野球を見ており、その後ピッチングコーチ、二軍監督と指導者としてステップを踏んできたこともプラス要因と言えるだろう。二軍監督就任時には選手を鍛えるだけでなく、二軍とはいえ勝つことも重要ともコメントしているが、その言葉通りイースタンリーグでは首位争いを演じている点も評価できる。

 逆に気になるのは、この2年間で新戦力となる投手をあまり発掘や抜擢ができていないという点だ。今年は平良拳太郎がシーズン序盤にブレイクの兆しを見せ、2年目の大貫晋一がチームの勝ち頭になっているものの、それ以外には目立つ選手は見当たらない。このあたりは三浦だけの問題ではないが、投手出身だけにもう少し若手投手陣の底上げを見せてもらいたいところだ。

 他の候補としても様々な名前が挙がっているが、過去の監督の顔ぶれを見ると、意外と生え抜き選手が少ないことに気づく。ラミレス監督も最後はDeNAでプレーしていたが元々はヤクルトの選手であり、生え抜きとなると2003年から2年間指揮を執った山下大輔まで遡ることとなる。長年低迷して黄金時代と呼ばれる時期もない球団だけに致し方ない部分はあるが、そういう意味では今回も外様から招聘してくることも十分に考えられる。

 スポーツ紙の報道では、前中日GMの落合博満の名前も挙がっているが、高額な年俸が必要になること、監督以外の編成についての権限も求めてくる可能性が高いことを考えると、今のDeNA球団の体質的に難しいと言わざるを得ない。

 監督としての実績があり、さらに年齢的な若さもある人材と言えばソフトバンク前監督の秋山幸二も候補となる。西武でも監督候補となっていると言われているが、来季は辻発彦監督の続投が決定的となっており、古巣復帰の可能性はなさそうだ。DeNAとの接点はこれまでないが、強いチームを作るのであれば、思い切って招聘するのも面白いのではないだろうか。

 生え抜きの候補としては1998年の日本一メンバーである佐々木主浩、谷繫元信、石井琢朗なども候補となる。ただ、石井については今年から巨人のコーチに就任し、チームの成績も良いことから残留する可能性が高い。佐々木も引退後、解説者としては活動しているとはいえ、指導者としては未知数な点が気がかりなところだ。

 そうなると残る候補は谷繫となる。中日ではプレイングマネージャーとしても専任監督としても結果を残せずに、3年間の監督在任期間はいずれもBクラスに沈んだが、この時期の中日は監督だけでなく編成面にも問題が多かったことは間違いない。捕手としての実績は申し分なく、中日時代に数多くの投手の才能開花に携わってきた経験は非常に大きいものがある。監督として一度失敗した経験があるというのも逆にプラスと言えるだろう。FAで自らチームを去ったという点は気になるところだが、もう一度ベイスターズのユニフォームを着てほしいというファンの声も少なくない。それを考えれば監督として古巣復帰というのも決してない話ではないだろう。

 ラミレス監督が指揮を執った昨年までの4年間でAクラスは3回と、2000年代の低迷期を考えると確実にチーム力は上がってきている。とはいえ、優勝を狙うとなると全ての面で不足していることは間違いない。親会社がDeNAとなり、長く優勝争いをできる球団を目指していると公言しているが、その目標に向けて果たしてどのような選択をするのか。今後の動きに引き続き注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月13日掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。