「色が黒い子はかくれんぼが強くてズルい!」息子の発言は“黒人差別”なのか ノブコブ徳井が考えたこと

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「これは差別なんかじゃない」

「なぜ泣くんです? 泣きたいのは私の方です!」と、私も涙声。マフィーパパは更に涙を流し、こう語ってくれました。

「そうやって悩んでくれる、僕らのことを考えてくれるだけで私はうれしい。それに、こうして悩みを私に相談してくれたんだ。素晴らしいことじゃないか! これは差別なんかじゃない。どうすれば良かったのか? 今回の答えは今だよ!」

 2人とも涙が止まりません。

「僕らはこの体を誇りに思っているし、娘にもそう教えている。だからあなたの息子さんが言ったのは、子供ならではの無垢(むく)な考えだし、面白いとさえ思う。だから何も心配することはない。ありがとう!」

 マフィーパパは「ノープロブレム?」と言い、私は「ノープロブレム!」と返しました。

 保育園から連絡があり、ちょうど時間となりました。

「さあ。子供たちを迎えに行こう!」

 私たちは最後に握手をして、子供たちを迎えに行きました。

 私が芸人になった一番の理由は「自分の思ったことを伝えて、他人に感じてもらい、結果、笑いに通じれば良い」」という自己顕示欲からです。

 でも最近は周りに気を使ってか、自分を擁護したくてなのか、自分の言いたいこと、伝えたいこともロクに言えず遠回りばかり……。

 息子にも親としての意見を何も教えてやれません。お笑いをやっているのだから、「もっと周りの人を笑顔にしてあげなきゃな!」と思ったところで、この文章を読み返してみました。どこにも笑うところがないことに、私は頭を抱えました。〉
(2012年6月8日 読売新聞夕刊)

 芸能人が社会問題を語るべきか否か、そんな陳腐な問いを一蹴するような視点のコラムなのではないだろうか。

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徳井健太(とくい・けんた)
1980年北海道出身。2000年、東京NSCの同期生だった吉村崇とお笑いコンビ「平成ノブシコブシ」結成。「ピカルの定理」などバラエティ番組を中心に活躍。バラエティを観るのも大好きで、最近では、お笑い番組や芸人を愛情たっぷりに「分析」することでも注目を集めている。趣味は麻雀、競艇など。有料携帯サイト「ライブよしもと」でコラム「ブラックホールロックンロール」を10年以上連載している。「もっと世間で評価や称賛を受けるべき人や物」を紹介すべく、YouTubeチャンネル「徳井の考察」も開設している。https://www.youtube.com/channel/UC-9P1uMojDoe1QM49wmSGmw

2020年10月3日掲載

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