「不妊治療」への支援を決めた政府 (KAZUYA)

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 私事ですが、この度結婚しました。といっても婚姻届を提出したのはもう少し前の話です。

 ネットで政治に関連する発信をしているため、これまで安全性を考えて公表はしていませんでした。しかし日々動画での発信を続けていると、「少子化対策を言うならまず自分が結婚してはどうか」といったコメントも見受けられます。それはもっともな話ですし、さまざまな葛藤を経て公表したところ、多くの祝福を頂きました。今では公表するかしないかで悩んでいたのが嘘のようにスッキリしています(しかし少しチャンネル登録者が減ってしまった……)。

 日本は少子化が深刻です。昨年生まれた赤ちゃんの数は86万5234人で、100万人どころか90万人も割っています。もはや待ったなしなのは間違いないのに、政府の対策はうまく機能していないようです。

 山田昌弘著『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか? 結婚・出産が回避される本当の原因』では、「未婚化」と「若者の経済力の格差拡大」をキーワードに挙げています。日本の場合、外国と違って事実婚ではなく、子どもを作る前に結婚ありきです。そして結婚をすると平均的に2人程度子どもを産むというデータもあります。だからこそ、特に若い世代の結婚を後押しすることが少子化対策にとって大事なのです。

 考え方が変わってきたというのも少子化の大きな要因でしょう。僕を含め、比較的若い世代は日本経済が右肩上がりだったころを知りません。高度経済成長やバブルの話は本やテレビで見るだけですし、むしろ未来は少子高齢化で負担も増えるという暗いビジョンばかり見せられてきました。

 日本人は先のことを気にしてしまうというのも山田氏が指摘しています。将来にわたる奨学金の返済を考えて結婚をためらうとか、非正規雇用で所得の低い若い男性が自分の子どもにそんな思いをさせたくないと、まだ影も形もない子どもを慮ってそもそも結婚を諦めてしまうのです。気にしすぎと言えばそれまでかもしれませんが、気にしすぎちゃうのが日本人です。それを汲み取った政策が求められます。

 結局は経済が少しずつでも成長し、未来に希望が持てるような方向性に進むしかないでしょう。今の政治のことを考えると、税金等の負担は増えるばかりで減ることがありません。若い世代は、また次の世代の納税者を産み育てます。より結婚・子育てがしやすい環境を作るために、税制面での優遇を考えるべきです。子育て世代は嫌でもお金を使いますから、可処分所得が増えるような仕組みを作る必要があります。

 少子化の危機はもう長らく言われ続けてきたのに、対策が不十分だった歴代の政権は猛省が必要です。菅政権は不妊治療の支援を打ち出していますが、これも大事なことです。むしろもっと早く検討を始めるべきだったでしょう。

 うちは夫婦共に子どもは欲しいと思っていますが、授かりものなのでいつと言えないのも難しいところです。でもなるべく早く欲しいなぁと思う今日この頃です。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。2012年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者74万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2020年10月1日号掲載

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