「アンサング…」「K2」 マトリョーシカみたいに出演続く「田中圭」

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元気はつらつ、滋養強壮ドリンクみたいな田中圭

 あれ、何の話だっけ。あ、そうそう、田中圭だ。

 K2では破天荒だが一応敏腕刑事で、山田涼介の腹違いの兄という役どころ。街中を駆け回り、商店街で大暴れし、がさつに振る舞い、尻を半分出して注射刺されて、事件解決。

 父(椎名桔平)を恨んでいるという心の闇もちょいちらつかせるが、今のところ軽妙で単純なバディモノに仕上がっている。

 これでいいのか? 田中圭。成熟した大人の女性が求めるのは、もっとくすぶっていたり、いじけていたり、抜けていたり、空回りする役のような気もする。

 まあ、でも、元気はつらつ、滋養強壮ドリンクみたいな田中圭にも確かに需要はある。個人的には、日の当たらない道を歩く人ももっとたくさん演じてほしいと思ってはいるが、今の人気っぷりはそれを許さないだろう。

 全体的に軽くて薄めなので、日テレのドラマっぽく見えるのが難点。ドラマのTBSっつうプライドをどう見せていくのか。

 田中圭が適役だと思わせてくれる説得力はあるのか。

 同じ強行犯の江口のりこと八嶋智人に見せ場はあるのか。

 兄弟バディの丁々発止に奥行きは出てくるのか。

 大接待が大失態となるか否か、今後の展開次第である。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月24日掲載

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