「Eテレ」でお笑い芸人が重宝される2つの理由 専門家は「カンニング竹山」を高評価

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大人向けの番組にも抜擢

 今なら、厚切りジェイソン(34)が子供向けの英語番組で司会を務めることに違和感はないだろう。

 何しろ英語のネイティブ・スピーカーだ。更に子供の頃から成績が優秀だったことでも知られている。彼は17歳でミシガン州立大学に飛び級入学を果たした。

 とはいえ、「NHK教育テレビ」の時代なら、たとえ英語が極めて流暢に喋れたとしても、芸人が子供向けの教育番組でMCを務めるなど考えられなかったに違いない。

 2番目の表を見ると、キャスティングは子供向けの番組ばかりではないことが分かる。大人向けの英語番組には太田光(55)が、育児情報番組には「ペンパイナッポーアッポーペン」のピコ太郎でおなじみの古坂大魔王(47)がMCを務めている。

 なぜ、こんなことが起きているのだろうか。元・上智大学教授でメディア文化評論家の碓井広義氏は1981年にテレビマンユニオンに参加、ドキュメンタリーやドラマの制作を手がけた。碓井氏に作り手の視点から、「Eテレでお笑い芸人が重宝される理由」を分析してもらった。

芸人が持つ話術の力

「昔の教育テレビが放送していた番組といえば、堅くて真面目なものしかありませんでした。大人も子供も『勉強するために視聴する』のが大前提でしたから、『番組を必要としない人は見なくていい』というチャンネルだったとも言えます」(碓井氏)

 だが、2000年代から「もっと多くの人に見てもらおう」と番組内容は維持しながら、演出やキャスティングで一般の視聴者にも“門戸”を開いていく。

「一種のリニューアルを行ったわけですが、その過程でEテレは、お笑い芸人が持つ“インターフェイスの力”に気づいたのだと思います。“interface”を直訳すると『接触面』などの日本語になりますが、ここでは番組と視聴者をつなぐ役割のことを指します」(碓井氏)

 お笑い芸人は舞台に立てば、基本的には自分の身体だけで観客と対峙し、話術で笑わせるのが仕事だ。

「歌手も俳優も自分の肉体だけで観客と対峙するのは同じですが、彼らは歌や脚本の力を借ります。芸人の武器はトーク力だけです。Eテレの制作スタッフは『あれだけの話術があるのなら、きっと難しい話題でも噛み砕いて分かりやすくしてくれる』とお笑い芸人に期待し、彼らが見事に応えてきたという歴史があるのだと思います」(碓井氏)

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