「認知症が進行」「子どもの免疫が育たない」 コロナ対策のさまざまな弊害とは

国内 社会 週刊新潮 2020年9月17日号掲載

  • ブックマーク

同調圧力

 もう一つのデメリットは、

「大人の同調圧力、コロナファシズムとも言うべき空気を子どもたちに見せるのは、教育上よくない。日ごろ“個性が大事だ”と言われている子どもたちですが、“全員手洗いしなきゃいけないんでしょ”“手洗いせず新型コロナに感染したら村八分なんでしょ”と、世間の空気を敏感に察知します。子どもには、社会では自分の判断よりも同調圧力のほうが大事だ、というメッセージとして伝わってしまっていると思います」

 感染した子どもへのいじめの頻発も、同調圧力を学んだ結果だろう。再開すべきは大人のための行事も同様で、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授が言う。

「野球場にも観客を5万人入れて問題ないと思います。新型コロナウイルスは基本、そばにいる人にしか感染しないので、何万人集まろうと、感染者の周りの数人が感染リスクにさらされるだけで、リスクが全体に広がるわけではない。みんなで肩を組んだり抱き合ったりしなければ大丈夫です。東京オリンピックもできると思う。すでに多くの国で下火になっていますし、入国の際にしっかり検疫すれば、多少の流入があっても、自然と収まると思います」

 IOCのコーツ副会長も7日、「東京五輪は新型コロナに関係なく開催される」と明言した。もっとも国内の世論調査では、開催を望む人は4人に1人。過度に恐怖心を膨らませた人たちの同調圧力もあり、学校もイベントも、なかなか元に戻らない。

スウェーデン在住、サッカー選手の声

 一方、軒並み都市封鎖をした欧州諸国のなかで、ゆるい規制による集団免疫戦略をとったスウェーデンは、怖がる人が日本より多くてもよさそうだが、

「日常生活で“コロナ怖いね”とか“いやだね”と騒ぐ人は、見たことがありません。政府の公衆衛生庁がいまも週2回会見して情報を、冷静に忖度なく発信し、国民はそれを信じて実行しています。国がウイルスを科学的に評価し、適切に対応してくれている、という信頼感があるのです」

 と話すのはスウェーデン在住のサッカー選手、安岡拓斗氏である。ちなみにかの国も野放しではない。

「サッカーリーグも6月の再開時は無観客で、8月27日からようやく500人以下まで観客を入れています。レストランの営業時間は戻っていますが、席と席は離されています。ただ、この夏、近所のビーチは去年並みに人が大勢いました」

 政府がなにかを発信するたびに、国民が疑心暗鬼になる日本との違いは大きいようだ。日本はどこでボタンをかけ違えたのか。東京大学名誉教授で食の安全・安心財団理事長の、唐木英明氏に総括してもらう。

「毎年冬の3カ月で約1千万人が感染するインフルエンザとくらべ、新型コロナの感染者は約7万2千人と100分の1未満。死亡者数も、インフルエンザは毎年約3千人、関連死を含めると約1万人ですが、新型コロナで亡くなったのは現在約1300人で、ほとんどは基礎疾患が悪化して亡くなった関連死です。感染力と死亡者数で比較し、新型コロナはインフルエンザより恐ろしい感染症とは、言えないと思います。実は、2月13日に東京都医師会が発表した資料には、すでにインフルエンザと大して変わらないと書かれていたのです」

 では、なぜそれが、結核などと同じ指定感染症2類相当とされたのか。

「真偽ないまぜの情報氾濫のせいで、みなさんが怖れていたし、今後の展開がわからなかったこともあったからでしょう。ただ最初は仕方なくても、なるべく早くインフルエンザと同じ5類相当に下げるべきでした。それができなかった背景には、専門家会議の存在があったと思います。彼らは感染を防ぐことだけを目指し、国民を誤解させてしまった。そんなことをしたら大変なことになる、と意見するリスク管理の専門家を、政府が起用すべきでした」

 そういう専門家がいないところに、メディアの姿勢が影響を及ぼしたわけだ。

「ニュースが毎日、今日の感染者数という煽り方をしたせいで、一般の人に恐怖心が染みついた。それを取り除くには、しっかりしたリスクコミュニケーションが必要です。また、この騒動で得をしているのが都道府県知事。一生懸命対策していますと、ここぞとばかりにアピールしてポイントを稼いでいる。メディアも知事も大局観をもって、世の中をよくするために、考えて行動してほしい。そうしなければ、一般の人の考え方は変わりません」

 政府の逆張りを身上として「特別な夏」を演出、「緊急事態宣言には効果がなかった」という科学的な知見は一切無視し、飲食店などに夜10時までの時短営業を続けさせる東京都の小池知事は、こうした知事の典型であろう。唐木氏は、

「新型コロナがインフルより恐ろしい理由として、治療薬とワクチンがないことが挙げられますが、議論が逆です。治療薬とワクチンがあっても年間1万人が亡くなるインフルと、どちらもないのに死者が少ない新型コロナと、どちらが恐ろしいか考えてほしい」

 と語るが、真っ先に考えてほしいのは、要らぬ対策で経済に穴を開け続けている小池知事らである。万一、すでに考えたうえで自己アピールのために行っていたなら、その罪は重すぎる。

特集「コロナ禍でも日本の『死者総数』は減っている!」より

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]