小池都知事、科学的知見を無視して営業短縮を要請 飲食店からは怨嗟の声

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薬がないのはインフルも同じ

 ところで、冒頭で触れた会見で、安倍総理はこうも語っていた。「軽症者や無症状者は宿泊施設や自宅での療養を徹底し、保健所や医療機関の負担軽減を図ってまいります」。これは「2類感染症以上の扱い」の見直しと絡んだ話だ。ただちに、インフルエンザと同じ5類相当とするかどうかはともかく、新型コロナは「死の病」ではない、と明言したのも同じである。

 京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、

「じわじわ下げると自粛が続いてしまうから、インフルエンザと同じ5類まで一気に下げたほうがいい」

 と言い、こう続ける。

「現在、2類相当の新型コロナは指定医療機関でしか診られない、という縛りがありますが、はるかに感染力の強いインフルエンザも診ている一般の病院でも診るべきです。インフルエンザはワクチンでコントロールできている、というのは幻想で、日本人の接種率は3割強で、有効率も6割程度。また薬で治ると思われていますが、39度の熱が出たらタミフルもリレンザも効きません。タミフルは症状がある期間を7日から6・3日にするだけ。全世界のタミフルの75%は、タミフル信仰のある日本で消費されています。治す薬がないのは、新型コロナもインフルエンザも同じです」

死者は昨年より減少

 話は戻るが、問われるのは、その程度の感染症に大げさな対策を講じる小池都知事の姿勢である。

 加えて、多くの人が不安を煽られている東京都の感染状況について、医師で医療ジャーナリストの森田洋之氏は、

「検査の伸びほど陽性者が増えていません」

 と指摘する。つまり感染自体も、さほど広がっていないということだろう。一方、森田氏はこうも言う。

「検査数がかなり増え、検査対象も異なるので、いまの感染者数を以前と単純に比較することはできません。経時的に見るなら、重症者数、死者数をくらべるのがいいと思います。すると重症者はこの夏、大阪で増えたものの、いまは波も収まり、東京には重症者の第2波はほとんど来ませんでした。また、8月25日に人口動態統計の速報が発表されましたが、5月に続いて6月も、死者は昨年より少なかった。新型コロナによる死者が一番多かった4~5月でも、超過死亡は出なかったのです」

 そして、こう説くのだ。

「冬に新型コロナの感染者が再び増える可能性はありますが、それが日本人の健康にとってどれだけ脅威なのか、しっかり評価しておく必要があります。インフルエンザ、肺炎、健康を脅かすものは山ほどあり、肺炎だけで毎年、日本で10万人が亡くなっている。そういう諸々のバランスを考慮して判断しないといけません。いま、これだけ落ち着いていて、超過死亡も出ていないのに規制を緩められないのは、バランスを欠いた判断だと思います」

週刊新潮 2020年9月10日号掲載

特集「女帝栄えて国滅ぶ! 『小池百合子』が欲しがる生贄」より

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