33歳「陽岱鋼」と38歳「中島宏之」の明暗 3軍降格でもがく陽に巨人OBのアドバイス

スポーツ 野球 2020年9月9日掲載

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0・002秒の差

 陽岱鋼に立ちはだかっているのは、“30代の壁”だという。

「20代なら理論的に野球を考えなくても、体力で何とか対応できるものです。ところが30代に入ると、どんなプロ野球選手でも身体能力が落ちます。特に問題なのが動体視力。20代なら打ち返せた速球が、30代になると詰まらされるようになってしまうのは、眼がボールに反応する時間が延び、身体の対応が遅れてしまうのが原因です」(広澤氏)

 球速150キロのボールだと、僅か0・002秒の間に8センチ進む。バットにボールがジャストミートする位置から、8センチも食い込まれれば大問題だ。だが動体視力の低下で、それが起きてしまう。凡打で終わるのは必然と言っていい。

「身体のほうは、脳から手足に『動け』と命令するのに必要な時間は0・1秒です。0・002秒の遅れを修正することはまず不可能です。動体視力が落ち、0・1秒の命令を出すタイミングが遅れてしまうと、0・002秒の差で三振や凡打ばかりになり、スランプに陥ってしまいます」(広澤氏)

 広澤氏自身も、30代になると酷いスランプに陥ったという。

「20代の時から、まっすぐの速いインコースを苦手にしていました。それでもアウトコースは得意なので、ヒットやホームランを打っていたのです。ところが30代になって動体視力が落ちると、インコースが怖くなりました。意識すればするほど、もうダメです。力みとプレッシャーになってフォームが崩れ、得意だったアウトコースも打てなくなってしまいました。典型的な悪循環に陥ってしまったんですね」

唯一の解決策

 これを乗り越えるため、30代の打者は多かれ少なかれ、フォームの改造をしなければならないという。

 マイナーチェンジで終わるか、フルモデルチェンジが必要かは選手によって違うが、20代と同じバッティングフォームで投手に挑むと手痛い結果で終わってしまうという。

「陽くんも、30代のフォームを作りあげようと試行錯誤しているのは知っています。ただ、ゴルフをやっている人ならお分かりでしょうが、改造すればするほど袋小路に陥ってしまい、何が正しいフォームなのか分からなくなってしまうということがある。陽くんに起きているのは、全く同じことです」(広澤氏)

 唯一の解決策は、専属の外部コーチを雇うことしかないという。

「陽くんのフォームを直すには、専門のコーチに付きっきりで教えてもらったほうがいいでしょう。チームのコーチは全員を見ていますから、そんな余裕はありません。昔のプロ野球選手は、自分専属のスタッフなど雇いませんでした。それが今は、フィジカルトレーナーや管理栄養士を自分で雇用し、専門的なアドバイスを得るのは常識になっています。陽くんも高給取りなのですから、専属の打撃コーチを雇うことをお勧めしたいですね」(広澤氏)

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