33歳「陽岱鋼」と38歳「中島宏之」の明暗 3軍降格でもがく陽に巨人OBのアドバイス

スポーツ 野球 2020年9月9日掲載

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メジャーの“呪縛”

「福留孝介(43)や青木宣親(38)も同じでしたが、中島くんもメジャーリーグから帰ってきたら打撃フォームが崩れていました。彼は西武時代、インコースの球をさばくのが天才的に巧かった。肘を畳んで打つ技術は日本球界でも突出していましたが、メジャーから帰ってくると、インコースもアウトコースも打てなくなっていたのです」(広澤氏)

 なぜ「メジャー帰国組」は、日本で好調だった時のフォームをアメリカで維持できなかったのだろうか。

「メジャーリーグでプレーしたことのない私が言うのも何ですが、アメリカは年162試合の過密日程で、チーム専用の飛行機で移動、また移動でプレーします。練習をしている暇もないはずで、それが日頃の練習で調子を維持することの多い日本人選手には合わなかったのだと思います」(広澤氏)

 北海道日本ハムファイターズのある札幌市から、福岡ソフトバンクホークスのある福岡市までの距離は陸路で約2200キロだ。日本のプロ野球では基本的に、この移動が最も長い。

 一方、青木宣親が16年に在籍したシアトル・マリナーズはMLBで最も移動距離の長いチームとして知られる。

西武時代に肉薄

 例えば、レンジャーズのあるテキサス州アーリントンまでの距離は同じ陸路で約3300キロ、アストロズのあるテキサス州ヒューストンまでは約3700キロという具合だ。

「日本人選手は特に不調になると、早出して特打をしたり、試合後もバッティング練習を行ったりします。身体を動かしながら不調の原因を探ったり、解決策が浮かんだりするのを待つのです。ところが外国人選手は全くと言っていいほど試合前も試合後も打撃練習をしません。彼らは口を揃えて『試合前の練習は気が散る』と言います。中学や高校の時からぶっつけ本番が基本なのでしょう。日本人選手でも、今は巨人の1軍ヘッドコーチを務める元木大介くん(48)は練習前の試合を全くしないことで有名でしたが、やはり少数派ですね」(広澤氏)

 帰国した中島は、練習に練習を重ねる日本の調整法で復活を成し遂げた──広澤氏によると、それは半分なら当たっているが、半分は間違っているという。

「かなり調子を取り戻しているのは事実です。しかし何より、当の中島くん本人が、まだ満足していないでしょう。西武時代の輝きを完全に取り戻したとは言えないからです。プロ野球選手の成長に年齢は関係ありません。私は39歳でバッティングに開眼しました。中島選手はあと少しで全盛期の感覚を取り戻せるところまで来ました。たとえ38歳でもピークに到達することができれば、あと数年は1軍で間違いなく活躍できます」

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