ナイジェリア発の「ブラックマネー詐欺」とは トリックを解説

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 ブラックマネーと聞けば、闇社会や不正資金が連想されるけれど、今回の場合、文字通り黒い紙幣を指すのだという。その名も“ブラックマネー詐欺”なるものが発生。一体、どんな犯罪か。

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 真っ黒な紙幣で人を騙す。にわかには信じがたい詐欺が横行している。

 不動産関連会社の社長を騙し、2500万円を盗んだとして、警視庁はリベリア国籍の容疑者を逮捕した。

 社会部記者が解説する。

「被害者の社長は今年5月下旬から、不動産を購入したいという容疑者と商談を行っていました。ところが、購入の段になると容疑者が“手元の現金が黒く変色している。黒い札2枚で本物の1万円札を挟んで薬品で処理しないと元に戻らない”と言いだした。そして、紙幣と黒い札に薬品をかけアルミホイルで包み、実演。十数分後、黒い札が本物の紙幣になり、信じ込んでしまったのです」

 被害者は黒い札を元に戻すために2500万円を用意。ところが、交渉の最中、隙を見て容疑者はこの大金を盗んで逃げた、というのがこの事件の顛末である。

 まるで手品のようだが、いや、まさに手品だと、偽造通貨対策研究所所長の遠藤智彦氏が指摘する。

「ブラックマネーという呼称は不正資金と重なるので、私はブラックノートと呼んでいます。この詐欺は20年以上前から世界的に行われており、犯人はナイジェリア国籍であることが多い」

 さる事情通が補足する。

「80年代半ばにナイジェリアからこの手口の詐欺が広がったとされています。ドル紙幣を使う例もあり、“資金を本国から持ち込むのに、ある事情から黒く染めざるを得なかった”などと説明をするのが通常です」

 さてその手品のネタばらしを遠藤氏にお願いすると、

「犯人はまず黒い上質紙などを紙幣の大きさにカットし、数千万から数億円分のブラックノートを用意します。そして、そこから2、3枚を被害者に選ばせるのです」

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