韓国の知識人を“抹殺”する「親日あぶり出し・魔女狩り法」と「国民の情緒」優先社会

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過去の歴史を清算するドライブがかかっての「親日真相究明法」

 李氏が韓国社会で親日派の代名詞となったのは2004年。いわゆる「親日反民族行為真相究明特別法」制定と関連した一連の事件のためだ。この年4月の総選挙で、政権与党の開かれたウリ党は、選挙1ヵ月前にあった盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領への弾劾による反作用のおかげで、議席の過半数を占める大勝利を収めた。さらに、10議席を獲得した民主労働党の支援まで受け、いわゆる「過去史清算ドライブ」に拍車をかけはじめる。そんな中で台頭した問題が、まさに民族問題研究所が主張してきた「親日反民族行為真相究明特別法」の制定だった。現在の政権与党である共に民主党が先の総選挙で大勝し、「歴史歪曲禁止法」というとんでもない法を制定しようとしている今の動きと非常に似たような状況だ。

 一連の事件とは、「親日反民族行為真相究明特別法」制定を巡る賛成・反対両派の討論番組に関連するものだ。法制定に賛成の開かれたウリ党の宋永吉(ソン・ヨンギル)議員、今は故人となった民主労働党の魯会燦(ノ・フェチャン)議員、逆に反対する李氏と、もう一人月刊朝鮮の記者が出演。同日、李氏は、「親日真相究明と反人権的犯罪に対する徹底的な究明には賛成するが、法制化を通じて公権力が介入する形式には反対する」と主張している。

 そして、従軍慰安婦問題については、慰安婦募集と動員に協力した朝鮮人業者たちや、日本軍として参戦し、慰安所を利用した韓国人の兵士たちが、共に省察と反省をすべきだと訴えた。挺身隊と慰安婦の区別もできず、朝鮮総督府と日本軍の命令によって強制的に朝鮮の幼い少女たちが性奴隷に連れ去られたと興奮して大声を上げた宋議員の主張と比べると、李氏の主張は当時としては、相当新鮮なものだった。

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