「神戸山口組の乱」は5年で平定、6代目山口組の高山若頭が次に見据えるのは?

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これまで儲けて貯めてきたもんを吐き出すことになりますわ

「6代目体制ができた時に弘道会系の組員が“山健はこれまで儲けて貯めてきたもんを、これからは吐き出すことになりますわ”と言うてました。まさにそういうことになりましたね」

 と、先の竹垣氏。

「資金力豊富な池田組は、神戸山口組を離脱して、一本独鈷でやっていくようです。義理や人情よりカネということなんでしょう。カネで動くから暴力団、任侠道とは違った道です。それで、これについていかない人間は大同会が吸収する。池田組の若頭をハジいていますからね。手柄を立てたところが縄張り、カネ、人間を持っていくのは世の習いです」

 5年前に話を戻すと、神戸山口組側が“理”を主張したのは、6代目体制がカネにがめついというものだ。もっとも先の直系組長はこう反論していた。

「われわれ直系組織が支払う会費は、100万円前後です。これらは山口組を運営するために必要なカネであって、司の親分の懐を豊かにするまえのものじゃないのは言うまでもありません。出て行った人らは、この会費の額が高いと言っとるようやが、山健組は山口組本体より高い金額を集めています」

特定抗争指定暴力団の指定解除を狙う

 この点は竹垣氏もこう話す。

「山健組は神戸山口組ができた後も、傘下の団体から高額の会費を徴収していたと聞いています。組員の血と汗の結晶である会費を親分が浪費していたとしたら、それは今の時代ちょっと通用しないですよね。若い衆でも月に15万円上納しているようで、まあ6代目やったら“みかじめ料”でそれくらいは賄えますけど、神戸山口組のほうはそうはいかないですよね」

 さらに竹垣氏は、次のように話す。

「3代目山健組の桑田兼吉組長(5代目山口組若頭補佐)は月の交際費が2000万円もあったそうです。それは下から吸い上げたカネで成立していたわけだから、会費の高額徴収は山健組の伝統かもしれません」

 もっとも、山健組の当代は、昨年12月に弘道会傘下の組員を銃撃し、殺人未遂の容疑で逮捕・起訴された中田広志組長である。

「中田組長は6代目の盃を受けていないから復帰も理論上は可能です。しかし、組長自らヒットマンとして6代目側の組員をハジいていますし、そもそも防犯カメラにバッチリそれが映っていて誰かを身代わりにというのもムリ筋やと思うんです」(竹垣氏)

 今後については、

「6代目にとっては、特定抗争指定暴力団の指定から解かれることを狙うでしょう。このままだと事務所も使われへんし。そのためには、山口組をひとつにすることが必要。ヤクザ社会の“憲法”みたいなもんですが、アメとムチで神戸山口組の勢いを殺いで看板降ろさすところまで持っていく。警察はそんな甘(く)ないけど、過去に道仁会と九州誠道会が抗争していた後に、九州誠道会は解散して浪川会を結成することで、特定抗争の指定が外れた例がありますから」(同)

 歴史にifはなく、あの時に戻れたらという話をしても仕方ないが、
「6代目を芸能人に見立ててか、”サインください”と神戸山口組側がやりましたよね。あそこで、世の中のヤクザに対する視線はより厳しくなったように思うんです」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年8月16日掲載

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