60代家長が20代ベトナム妻と再婚で… 群馬「和牛農家」の大混乱

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S家で暮らすベトナム人妻

 今も群馬のS家では、叔父とベトナム人妻、その息子である1歳児、独身の3番目の叔母、祖母が暮らしている。ベトナム人妻は日本での育児の勝手がわからないため、息子の世話は仕方なく叔母と祖母が引き受けているという。息子の世話を一族の女に押しつけ悠々自適に暮らすベトナム人妻は、「毎日Amazonの箱が届くから嬉しい!」とのん気に言っているという。

 叔父はすでにベトナム人妻との間に生まれた子に事業を継がせることを決めている。その子が畜産業を継ぐ時には、昭和天皇や先代の遺影に並んでその子の写真も例の床の間に飾られるのだろうか。

 家督制度は、一族全員の同意があって初めて機能するので、この子に財産が全て受け継がれる心配はないという。とはいえ、もともとX君が全て受け継ぐはずだった財産は、法律上、ベトナム人妻とその息子との3人で分割することになってしまった。叔父が亡くなったとき、遺言次第では、X君には法定相続分の1/4も渡るかどうか怪しい。

 一族から実質的な村八分にあった叔父は、以後、亡き祖父の法事も忘年会・新年会も一切開催しないと宣言した。むろん、お盆の親戚の集まりも、ベトナム人妻が来てからは一度も行われていない。

「僕が小さい頃は、親戚みんなで酒盛りしたり麻雀したりでとても楽しそうだったのに、この20年くらいで様変わりしてしまった。明治から続いてきたこの家の歴史から見れば、20年なんてほんの一瞬なのかもしれません」

 Aさんは遠い目をしながらそうこぼした。

万亀すぱえ/編集者・ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月12日掲載

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